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ガラス細工の青い春
【純愛 恋愛小説】

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-1

 球技大会は、自分が所属する部活動の種目には出場する事ができない。咲、留美、幸恵の三人は人気種目であるバレーボールに出場するが、清香はバスケだ。男子四人もバスケに出場するという。
「今日は話せるんじゃないの、圭司と」
 留美は大きな目を殊更大きく輝かせながら清香の顔を覗き見る。長いまつげは扇状に広がり彼女の顔に華やかさを添える。
「え、別に急いでないし。つーか試合は男女別だし。うん」
「でも試合の合間とか、体育館で待機したりするんでしょ、チャンスあるかもよ」
 背の小さな幸恵は清香のTシャツを掴んで見上げるようにして言うので、清香は困ったような顔で笑う。
「別にいいよ、そんなの期待してないし」
 しかし本人のやる気とは裏腹に、清香以外の三人の方が何故か、清香と圭司が会話をする事を心待ちにしていると言う状況に、清香はほとほと困り果てていた。
 期待されると、プレッシャーがかかる。
 それぐらいの事は分かって欲しい。たかが会話だ。たかがクラスメイトだ。お互いが敢えて避けたりしていなければ、自然と会話をする機会は生じる筈。だから清香は別段急いでいないのだ。急いでいるのは、どういう訳か清香以外の三人。挙げるとすれば、優斗も、だ。
「じゃぁ私、一試合目だから」
 清香はタオルをひらりと振って見せると「時間があったら応援行くから!」と張り切った咲の声が聞こえた。咲の目当ては、体育館にいる清水先輩だという事が清香には分かっているが、形式的に手を振っておく。

 球技は得意な方だ。しかし清香はなるべくボールに触らないように、コートの端をほっつき歩いていた。だがバレー部のレギュラーである事は級友に知れている訳で、バスケだってそれなりにこなせるだろうと思われているフシがあり、清香めがけてオレンジ色のボールが容赦なく飛んでくる。
 仕方がなくドリブルで切り込んで行き、適当に放る。それがゴールネットを揺らそうが揺らすまいが、関係ない。部活以外の「チームプレー」に興味がなかったし、疲労する事も避けたかった。一回戦で敗退し、あとは審判や得点係をやって終わりになると踏んでいたのが間違いだった。無欲の勝利か、得点源になってしまった清香はクラスメイトから賞賛され、戸惑いの顔を見せる。



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