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ガラス細工の青い春
【純愛 恋愛小説】

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-3

 授業中、咲が背中をペンの先でつんつんと突いて、右の脇あたりからスッと手紙を渡される。メモ用紙が折り畳まれたその手紙を開くと、咲の丸っこい字が並んでいる。
「けーじとは、いつになったら話せるようになるの? 結構、気つかうんだけど!」
 シャーペンの背に顎を押しあて暫し考え、清香はその丸い字の下に「アイサツぐらいならいつでもできますけど」と書き、後ろに回した。実際に挨拶はしている。しかしそれは机に向けてだったり、手の甲に向けてだったりする訳で、圭司を直視して挨拶をする事はまだ出来ない。
 背後に何か気配を感じたと思った瞬間、咲に頭を軽く叩かれ、それを見た教師が「川辺、何やってんだ」と咲を名指しして注意する。咲も、雅樹程ではないにしろ、教師たちに目をつけられている生徒の一人だ。
「アイサツだってろくにできてないくせに! アホ!」
 丸い文字で返される。
 毎日を淡々と過ごす清香と、学内でも悪名を馳せるような人間が、良好な友人関係を築いている事に、清香は時々違和感を感じる。決して流されやすい性格なのではない。しかし自分が望んで築いた友人関係という訳でもない。清香にとって毎日を一緒に過ごすクラスメイトは、誰でも良かったのかも知れない。

「じゃ、部活行くから」
 鞄を肩に掛けた清香は、掃除用具箱の辺りに集まっている七人に右手をひらりとあげると「頑張ってねー」「頑張れー」「お疲れー」と次々に声があがる。これからこの七人は、なんやかんや話をして、飽きると帰って行くんだろうと清香は想像する。そこに参加をした事がない清香には想像の域を出ない。
 自分も部活動に加入していなかったら、この輪の中に入っていたかも知れない。そうすれば圭司と話をする機会が自ずと増えたかも知れない。しかし部活動は好きで、やめるつもりはない。賑やかな七人の笑い声を背に、教室を出る。賑やかな声は少しずつ、遠ざかり、隣の教室の喧噪と入れ替わる。


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