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生徒はお嬢様
【コメディ 官能小説】

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生徒はお嬢様!?-11

「撫子。勉強の準備はいいか?」
 家庭教師生活? の二日目。相変わらず入るのが躊躇われる九条家の屋敷に入り、撫子
の部屋を訪ねる。
「あら彼方さん。いらっしゃいませ」
 優雅にスカートの裾を摘み挨拶をしてくる撫子。なるほど、ここだけを見ると本当に撫
子は金持ちの人間なんだと思い知らされる。
「昨日は初回ということもあって、易しめにしておいたが、今日からはビシバシといかせ
てもらうぞ」
 あまり甘やかすと昨日のようなことになりかねないからな。あんな変な気を起こさせな
い程度には厳しく指導しておく必要があるだろう。
「き、厳しくですか!?」
「ああ、厳しくだ」
 撫子の頭がパンクするまで勉強を叩き込んでやるからな、覚悟しろよ。
「彼方さんが意地悪な顔をしてますわ。そんな顔をしてますと、女性にモテませんわよ?」
「余計なお世話だ。そんなことよりも勉強を始めるぞ」
「……ちっ、話題を逸らすことは出来ませんでしたか」
「おい、聞こえてるからな」
 それに、話題の転換の仕方から、お前が勉強のことを忘れさせようとしているのは分か
ってたからな。そんな無駄な努力をするくらいなら、少しでも勉強をしてろよ。
「で、ですが……いきなり勉強を始めるというのは……そ、そうですわ! そういえばわ
たくしお菓子を用意していたんです」
「お菓子……?」
 お菓子を用意するのも食べるのも別に構わないが、それは休憩中の話だろ。勉強とお菓
子は関係がないだろ。
「わ、わたくしの手作りなんですよ! 彼方さんに食べて欲しくて作ったんです!」
「そうか。それは休憩中に食べよう」
 その厚意はあとでいただくとしよう。それよりも今は勉強だ。
「い、いえ――できれば今すぐ食べてください! 今すぐ食べて感想を聞かせてくださいな」
「感想なら休憩中でもいいだろ?」
「いいえ! わたくし、それが気になって勉強どころではありませんわ!」
 どうしても今でなければならないと力説してくる撫子。はぁ……ここまで言われてしま
うと、今すぐ食べて感想を言わないと始まらないだろうな。
「分かった。食べればいいんだろ?」
「ええ、ええ! では、すぐに持ってきますから彼方さんは待っていてくださいね!」
 パタパタと嬉しそうに部屋から出ていき、手作りのお菓子を取りにいく撫子。
 二回目にしてこれとはね……決して上手くはないが勉強をしない方向に誘導されてしまった。
 女の我儘ってやつは、ほんとにズルいね。
「彼方さん! 持ってまいりましたわ!」
 息を切らさんばかりの勢いで撫子が戻ってくる。手に握られたお盆には撫子が作ったと
いうお菓子が乗せられている。
「わたくしの自信作ですので、たくさん食べてくださいね」
 お茶の準備をしながら、お菓子を食べるよう進めてくる。目の前に並べられたお菓子は
自作とは思えないほどの豪華さで、本当に撫子が作ったのか疑いたくなるほどだ。
「これ、本当に撫子が作ったのか?」
「ええ、わたくしが作りましたわ」
 大きな胸を張って、そう答える撫子。俺はもしかしたら、撫子という少女を見誤ってい
たのかもしれない。金持ちの娘で、アホな性格。それらを考えると、とてもお菓子なんて
作れないはずだが、こんなにも美味しそうな物を作れるとは意外だな。



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