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THANK YOU!!
【純愛 恋愛小説】

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THANK YOU!!-5



『・・瑞稀にね。言ったんだよ。』
「・・・?なにを・・?」

急に話題が変わった気がして、つい口から反射的に言葉が出てしまった。

『彼氏くんは、どうするのかって。瑞稀の話聴いてると、ラブラブなのが伝わってきて・・幸せそうだったから。』
「・・・・あ・・」
『それに、瑞稀は自分放ったらかして・・人の事ばっか考える人だから。君のことも考えて、全部話すんだと思ってた。』
「・・・」

確かに、アイツは自分の幸せを望む事をしないからな・・。
そのくせ、人の幸せばかり気にして・・自分がどれだけ傷つこうとも、相手が救われる方法を考えてる。自然に思い出すのは、小学校の時。
自分が閉じ込められて怪我しても、笹野を怒ったり責めたりしなかった。
だけど、俺に怪我をさせた事や柊を傷つけた事だけは、凄く怒った。
自分の怪我の事なんか、一度も言わなかった。
本当に、こいつだけは敵わないと思った。憧れた。

『・・でも、瑞稀は悲しそうな顔で、“別れる”って言った・・。』
「・・・なんで・・・?」

そのセリフを聞いて、やっぱりそうなるのかと思った。
でも、心は正直で・・。
震える声でも、理由を聞こうとする。それで、どうなるというわけでもないのに。
紫波は、悔しそうな声で続けた。

『・・ずっと一緒にいるのに・・まだ分かんない・・?』
「・・・」

・・・嫌味かよ。
でも・・分からない。情けなさすぎる・・。
アイツが、そう答えを出した理由に思いつきもしない。好きなら・・何で?

「・・あぁ・・」
『・・じゃあ、教えてあげるよ。瑞稀から聞けた、君への想いが詰まったメッセージ・・』


*****

『別れるって・・なんで!?』
『・・遠距離だし・・初恋同士だし・・アイツ、モテるし・・』
『っそんなの!!』『それに!』


『拓斗を、縛りたくないんだ・・。アイツには、もっと良い人が居る。日本に居られなくなる私より・・。そんな自由を・・私の勝手な感情で奪いたくないんだよ・・』


*****

「・・・・」

何も、言えなかった。
瑞稀は・・俺の為に・・・?俺の、自由の為に・・・?自分の気持ちより、俺の幸せを・・願ったって言うのか・・・?
だから・・何も、言わなかった・・・?

『そう、言われた時、何も言えなかった。言う気も無かった。だから、それ以上何も言わないことにしたんだ。』
「・・・バカだろ」
『・・は?』
「アイツは、バカか」
『なっ・・!!!』





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