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puppet title
【サイコ その他小説】

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puppet title-7


「よいしょ、よいしょ」
 私の堂々巡りの考えは急に耳に入った声によって停止する。その声は少女特有の愛くるしい声……とか、そんなヌルいもんじゃないぞこれは!なんだこの男を欲情させることに特化したようなくりくりロリィタヴォイスは!やばい萌える!こんなに萌える声は今まで聞いたことが無いぞ!どこだ!この声は一体何処から聞こえた!
 いたー!っていうかなに持ってんだあいつはなんか変な板…キャンパスか?それに何か変なものがくっ付いてるけど…ってそんなことはどうでもいい!一体なんだあれは!そうか分かった!あれは天使だ!心が綺麗だとかそんな陳腐な理由で天使とか呼ばれた偽者とは格が違う!それほどに本物の天使は美しい!うわー、うわー!泣きぼくろがなんか淫靡な感じがして、これがまたイイ!美しすぎる!コレクションにしよう!即決!満場一致!富田一流?そんなのどうでもいい!
 本物天使はキャンパスをコンクリのブロックに立てかけた。ああクソ!ゾクゾクする!
 私は息を殺して、スタンガンを握る。握るだけ。焦らない焦らない。一休み一休み。
 恍惚とした表情で天使さんはキャンパスを見ている。私はそんなものに興味は無いが天使さんがそれに注視しているのは私にとって都合がいい。私の存在に天使さんはまだ気付いていない。
「ああ、何度見てもいい出来栄え」
 と天使さんは言った。あのキャンパスのことだろう。私はキャンパスに何が描かれているか知らないが一応同意する。
「確かに、なかなかによい作品ですな『踏み外し』てしまったお嬢さん」
 倒れる。天使さんが。スタンガンを押し当てたからだ。相当痛いはず。意識が朦朧とするはず。
 天使さんは私のほうを向いて倒れた。あーあーあーあー!やばい!これはそーとーやばい!美しすぎるぞこれは!なんかいい香りがするし。
 これが今から私のものになるのか!うがぁー、信じられん!アンビリーバブルだ!
 そっと、首に手をかける。
 柔らかい。暖かい。すべすべする。
 首の感触によった私は、その感触をもっと味わいたいと手に力を込める。ぐいぐい。
 たちまち天使さんは、苦しそうな顔になる。
 かわいそう。ああ、なんてかわいそうなんだろう。でも、私は手をどけたりはしない。苦しんだ顔もいいなあ。そそるなあ。
 「かっ」
 と天使さんは何か声を発した。 
 死んだのだろう。魂が天に帰っていったのだろう。
 と言うことは、この亡骸はどうなるのだろうか?
 もちろん、私のもの、だ。
「ああ、素敵だよ。可愛い可愛い私のお人形さん」


 そんなこんなで私は天使さんを家に連れ帰った。途中何処をどうやって走ってきたのかはほとんど記憶に無い。無我夢中だったのだ。だってこの世のものとは思えないんだもん!やっぱり天使なんだよ。きっと何かの間違いでこの世に下りてきたのだ!
 取り合えず、天使さん、と言う呼び名でもいいのだが、他に名前があるのかないのか身体調査をする。
 あった。上着のポケットに生徒手帳があった。
 しかし、制服でもないのに生徒手帳を持ち歩く奴なんていたのか…まあ、その辺りはやっぱり天使だから規則を破れなかったってことかな。
 「えーっと、名前は…富田一流か……あー!いい名前だ!さすがに天使にふさわしい!だって一流なんだもんなー!うんうん!私は生まれてこの方富田一流なんて素晴らしい名前をついぞ聞いたことは無いぞぉ!」
 ん?
 こんな素晴らしい名前は確かに私は聞いたことが無い……はず。
 しかしなんだこの違和感は!これがいわゆるデジャヴと言う奴か!既視感と呼ばれるあれなのか!
「あ」
 思い出した。富田一流。それは私が天使と絶賛した(今では、そんなにいいもんじゃなかったなあ、と思い直しているのだが)宇桜優伊奈を殺した犯人の名だ。しかもこの私の目の前に絶対的絶世の美少女は、確かあの時キャンバスを持っていなかったか?確か憎き富田一流も美術部だったという情報が……


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