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二兎追う方法、教えます
【学園物 官能小説】

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迫る兎-5

「フフ、ドキドキ、分かった? 服の上からじゃ、あんまり分かんないか?」
「え、あ、いや……」
「あたし、結構、胸は自信あるんだ。ちょっと肩も凝るけどねェ。リクオ君は、胸、大きいほうが好きなの?」
「ええ? 胸の大きさの好き嫌いは、別にないですよ」
「そうなんだ、その割には視線を感じてたから、ちょっと触らせてあげたんだけどォ」
「そ、それは、誤解ですよ、誤解――」
「ふーん。あたしは服の上から見られるくらい、何とも思わないからいいんだけどね〜。慣れちゃったし、ドキドキしていいじゃん?」
「それより、手、ずっと会長の胸に当たってます……」
「フフ、触りたいクセに。じゃあ、目、瞑ってみて。そしたら、手、離してあげるわ」
「目を? 何で?」
「いいから、早く」

 俺は、仕方なしに目を閉じた。
 別にヨウコの胸から手を離したい訳ではないが、男としての矜持というか節度というか、そういう事ってあるのではないか。
 目を閉じると、顔の前に気配を感じる。
 この部屋にはヨウコしかいないから、彼女が俺に顔を近づけているのだ。
 男女が顔を近づけてすることといえば、だいだい一つしか無いだろう。
 まだ手には彼女のたっぷりとした感触、下半身の上には彼女の柔らかな質量を感じている。
 ヨウコは、俺にキスをしようとしている――――
 そう思った瞬間、ガブリと俺の鼻にヨウコが噛み付いた。

「いって!!!」
「ハハハ、リクオくん、あたしがキスしてくると思ったでしょ?」
「そりゃ……」

 ヨウコは俺に跨っていた体を下ろすと、自分の豪華な机にピョコンと飛び乗り、足を組んで腰掛けた。大きな机だから、彼女の足は床に着いてはおらず、宙ぶらりんだ。
 急に消えた彼女の重みと柔らかさが失われて、俺は妙な喪失感を感じた。


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