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新・ある季節の物語
【SM 官能小説】

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(冬編)-3

そんなときだった…今はもうなくなったSMクラブ「ルシア」で、以前、S嬢としていっしょ
に働いていた女友達の「谷 舞子」から電話があったのは。

…カヨ、久しぶりだよね…元気なの…今夜は、急に電話してごめんなさいね…実は、お願いが
あるのよ…「ルシア」のママのこと憶えているかしら…そうなのよ…ママ、またSMクラブを
始めたらしいの…それでね、ママが言うには、いつものS嬢やっている慣れた子が、病気で休
んでいるらしくて…どうしても大事なお客さんの相手を探しているんだけど、代わりの女の子
が見つからないらしいの…

…私に代わりをやってくれないかって言われたけど、ちょっと昼間の仕事が込んでいて難しい
のよね…だから、カヨに臨時でS嬢をやってくれないかと思って…カヨなら、ベテランだし…
ママもカヨだったら安心だから、私から頼んでくれないかって…



淡いオレンジ色の灯りが、久しぶりに黒革の艶やかなコスチュームに身を包んだ私を優しく包
んでくれる。

懐かしいSMホテルのプレイルームだった。私の足元に跪いた裸の中年男は、白髪の交じった
艶やかな髪をした端正な顔の持ち主だった。彼は、私の股間に擽るような視線を投げかけ、媚
びるように私のハイヒールの先端に頬を寄せる。

もう鞭なんて手にすることはないと思っていたけど、舞子に頼まれ、私は久しぶりに鞭を手に
することにした。


目の前の客の男は、蒼い翳りのある背中を丸め、椅子に腰を降ろした私の前に跪き、首輪を嵌
められた顔を歪めながら私の足先に慈愛に満ちた接吻をする。そして、黒いハイヒールの先端
から足首にかけて、まるで愛おしいものに触れるように手を添え、濡れた唇を這わせ始める。

まるで、あの頃のイマムラのように、男が黒いストッキングに包まれた私のふくらはぎに唇を
這わせると、私は、自分の陰毛の根元がじわりと湿ってくる欲情を感じ、なぜか遠く過ぎ去っ
た時間を懐かしく子宮に吸い込もうとした。


私が愛したイマムラも、マゾの男だった…。まさか、そんな男に自分が恋をするとは思っても
いなかった。

お互いが、まるで冬の木枯らしに吹き寄せられるように出会い、何かが自然と混ざり合うよう
にからだを重ねた。そして、イマムラが望んだことは、私が振り下ろす鞭だった…。

でも、鞭を受けたイマムラの苦痛の顔に、いったい私は何を求めていたのだろう…と、でも、
私は目の前に跪く見知らぬ男の背中に、自分がイマムラに対してあのころ感じたものをふたた
び描くことはできなかった。



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