投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

翼の記憶
【ファンタジー 恋愛小説】

翼の記憶の最初へ 翼の記憶 46 翼の記憶 48 翼の記憶の最後へ

神官U-1

呼ばれた葵は二人の元へ駆け寄った。仙水は料理が得意だという。






『いくつか説明しなくてはいけないな』






お茶を用意している葵は神官たちの座るテラスへと足を向けた。






『・・・王と神官についてだ』






"世界の意志"は静かに告げた。



人界の王である葵の魂は輪廻で、肉体が滅びても何度でも王として生まれ変わること。


永遠に等しい命、そして即位したその日より年をとらなくなること。それは神官も同じであること。






「俺たちの魂は輪廻ではないのですか?一度死んだら・・・」






『・・・前例がない。
"人界の王"はこの世界の理だが・・・"神官"はその理の中に非ず』






『そなたらが死を迎えたのち、新たな神官が現れるのか・・・神官そのものがいなくなるのか・・・或いは・・・・』






葵は三人を見やって微笑んだ。






「私が貴方たちを死なせない」






その瞳には王たる者の強さが秘められていた。全てを守る立場にある人界の王。それ以上の決意が見てとれるのは気のせいだろうか・・・?





大和は葵の顔をじっと見つめていた。彼女と過去にどんな縁があったにせよ、自分は自分の意志で今ここにいる。






(死ぬのは怖くない、だが・・・
この方と・・・葵と離れるのは嫌だ)






テーブルに隠れた右手で葵の手を握った。






驚いた葵が大和を見つめる。大和は葵から目を逸らさず、その手に力を込めた。






「大和・・・」






「葵様、神官はもうひとりおられるのですか?」






仙水の穏やかな声が耳に届いた。はっとした葵は口を開く。






「・・・そう、きっとあと一人・・・」






『神官にふさわしい輝き・・・と、王との約束をもった者がいるな』






葵は蒼牙を思い出して遠くを見つめるような目をした。






仙水は陽気に微笑んでいるが、九条や大和は・・・複雑な心境だった。






それから、王や神官は食事も睡眠もあまり必要ないことを告げられた。その体は生身の人間とは違うことを実感したが、彼らは人間であった時間のほうが長いため・・・葵の計らいで食事や睡眠は今まで通りにとすすめられた。






料理が得意な仙水はさっそく炊事を担当することになり、葵とともに王宮へと入っていった。









翼の記憶の最初へ 翼の記憶 46 翼の記憶 48 翼の記憶の最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前