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K×3
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K×3-2

「あー!もう!何なんだよ!新入部員達には覇気が無いのか!」

 部活の帰り道、輝は仁に向かってそう叫んでいた

「いやいやいや。
この学校で甲子園を目指してるのは、お前だけだ」

呆れたようにため息混じりに仁は言う

「もっと気合いがあって、上手いヤツが入ってくれたらよかったのに・・・
そしたら二人で甲子園について熱く語り・・・」

「上手いヤツといえば…」
仁は何かを思い出したかのように言う

「2中の不破がウチの学校に入ったらしいが・・・」
「何ぃ!!!本当か!!」
輝が仁の肩を掴み興奮しながら問い掛ける

「ああ!ガセじゃないぜ」
「あの不破が・・・
ウチの学校に・・・」

不破靖(ふわ やすし)彼は中学時代、高校生をも凌駕すると言われたスーパースラッガーで県内に名を轟かせていた
不破は硬式・輝は軟式で直接対戦した事は無いが噂はイヤという程、耳に入ってた
 
「よーし!明日、一緒に不破をスカウトに行くぞ!」
「へいへい・・・」
 溜息を付きながら仁は頷いた
呆れている仁には目もくれず輝は興奮しきっていた
不破 靖、彼が弱小野球部の救世主になるのかもしれないのだから・・・


「お断わりするっす」

思いもしなかった返答に輝達はとまどった

翌日、不破のクラスを訪ねた、輝と仁は不破の勧誘を開始したが・・・

あっさりと断られてしまった

「何でなんだ??」

「もう野球したくないんっすよ。すみませんけど入る気は無いっす」

輝はアレコレ必死の勧誘をしたが不破は耳を傾けることすらしなかった・・・


時間が流れその日の部活の終わり

輝は不破の家の前に立っていた
もう一度、不破を誘うつもりなのだ・・・
           
ピンポーン

「はーい!!」
 チャイムを鳴らすと中から不破が出てきた

「よっ」
 輝は軽く手を挙げ不破にあいさつした

「外で話も何だから入ってください」
 不破は輝を部屋に招き入れる

不破の部屋に入るとまず目に飛び込んで来たのは壁に貼られたプロ野球のポスターだった
本棚には野球漫画・打撃の理論(上級編)・一流のバッターになるためには?など野球関連の本がギッシリと詰まっている

不破は決して野球を嫌いにはなっていないと分かった輝は笑みをこぼした

「で?何の用っすか?」
 話は不破から切り出した
「分かってるだろ!?
キミを野球部に誘いに来たんだ」

「はは!あんたもしつこいっすね。入らないモノは入らないんっすよ」

「じゃあ何で野球を辞めたんだ?何か理由が」

「うるさい!あんたには関係ないだろ?」

輝の話の途中で不破が怒鳴った

「だいたいさぁ!!あんた何!甲子園とかいうバカな夢見てるんだよ?
あんな弱小校だぜ!?
少しは現実見たらどうだよ?叶わない夢ばかり追い掛ける年でもないだろ?」
           
一気に不破は怒りを輝にぶちまけた

それから不破は俯いて何も話さない
部屋中に重たい空気が流れる


「賭けをしよう・・・」

重い沈黙を破ったのは輝からだった

「今度の土曜、練習試合がある、相手は清昌高校だ」
清昌高校、略して昌校
実力は岸鷲と同じくらい弱い
弱小は弱小としか練習試合を組んでもらえないという事だ

「その試合に勝ったら野球に入って欲しい・・・
負けたらキミに一切関与しない」

不破は俯いたまま何も答えない

「じゃあな!!」

そう伝えると輝は不破の家を出た
この試合は絶対に勝つという思いを胸に秘めて


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