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K×3
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K×3-3

――土曜日――
いよいよ練習試合の日が訪れた
試合時間はすぐそこに迫っていた
しかし不破の姿は見当たらない
その時になって輝は重大な事に気付いてしまう

(時間伝えるの忘れた…)
もはやギャグの域である
試合の日を伝えながら時間を伝えていない・・・
来るはずがないじゃないか
「おい!太田!どうした?体の調子悪いのか?」

落ち着かない様子の輝を心配して山口が問い掛ける

(あ〜〜!俺はなんて俺はバカなんだ・・・
不破を入れるチャンスが)
輝は頭を抱えたままベンチに座り続けている
山口の言葉は届いていない
輝は突然立ち上がり外に走りだした

「おい!太田!何処に行くんだよ??」

突然走りだした輝に驚いて輝の後ろ姿に向かって叫んだ

「すいません!すぐ戻りますから試合は頼みます」

振り返らずに輝は答えた
山口は呆然と走り去る輝を見続けた


「山口さん!ピッチャーが抜けてどうやって試合するんですか?」

輝が抜けてみんなが困り果てている

「とりあえず輝が帰ってくるまでキャプテンにピッチャーしてもらいましょう」
仁の意見に皆が賛成し、ピッチャーは山口が努める事になった

岸鷲高校オーダー
1番ショート:矢沢
2番 キャッチャ:稲葉
3番センター:古田
4番ピッチャー:山口
5番ファースト:川島
6番セカンド:真中
7番 ライト:三木
8番サード:青木
9番レフト:藤井

「はぁ〜何で俺がピッチャーなんだよ、どうなっても知らないぞ」

試合は昌校の攻撃から始まった
昌校の1番バッターが打席に入る

「太田が来るまでの辛抱だ早く来てくれよ」

山口は振りかぶり第1球を投げた


輝は不破の家に向かって走っていた

(試合は大丈夫かなぁ?
考えてても仕方無い
早く不破を連れにいこう


フォアボール

ピッチャー経験の無い山口は思ったように制球が定まらずに8連続のボールでランナーを二人、塁に置いてしまう

「おい!大丈夫か?」

山口の荒れぶりを心配したキャッチャーの稲葉は駆け寄る

「やっぱ俺にはピッチャー無理だわ!他のヤツに代えてくれ・・・」

「何、弱気になってんだよ?まだ打者二人だ!!これから打ち取ればいいんだ」
弱気になった山口を励まし稲葉は戻っていった

「輝ぁ〜早く来てくれ〜」


その頃、輝は不破邸の前にいた
チャイムを鳴らし不破を呼ぶ

「あれ?先輩どうしたんっすか?」

「すまん!時間伝えてなかった!もう試合が始まってる!早く来てくれ」


「やりぃ!またまた追加点だぁ」

初回、山口は制球難のために3点を献上
2回はなんとか凌いだものの3回に再び捕まり1点を失う
さらにノーアウト満塁でまだまだ追加点を入れられそうな雰囲気である

「すいません遅れました」
誰もが最悪の事態を想定した時に不破を連れ輝が来た
「やっと来たか」

「肩はできています!
すぐに投げさせて下さい」
「よし!遅れてきた分しっかりと活躍しろ!
審判!!
ピッチャー交替、太田」

山口が審判に交替を告げるピッチャーが山口に代わり輝
輝は3番の古田との交替で入る事になった

(さぁ〜て!あんたのピッチング見させてもらいますよ実力を考えずに甲子園と豪語してるバカか、実力を備えた夢を見ているのか)
不破がじっと見つめる中、第1球を投げた

ズドーン

輝の放ったうねりをあげながらミットに収まった

ストラーイク

ストレートは内角いっぱいに決まった

(弱小のピッチャーにしてはなかなかだな)

不破はじっと輝の球を観察した

ストラーイク・・

ストラーイク
ストラーイク・・・

それからは三振の嵐
ノーアウト満塁というピンチを三者連続三振という形で切り抜けた


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