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恋に変わるとき
【青春 恋愛小説】

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ムカつく男-2

……出席票なんてまだ配られていないのに、なんでこの人もう持っているんだろう。


胡散臭げな視線を彼の手元に送っているけど、当の本人はどこ吹く風。


やがて、シャーペンを握っていた手が止まったかと思うと、奴は突然それをあたしに寄越してきた。


「ん?」


眉を潜め、流れで受け取ってしまった白い紙をじっと見つめ、その後で男の方に再度視線を投げかける。


「それ、提出しといてくれない?」


「は???」


友達でもなんでもない赤の他人にそんな図々しい頼みごとをされたことに驚いたあたしは、少し大きな声を出してしまった。


「俺、今すぐ行かなきゃいけない用事があるんだよ。それ出すだけだから、頼む」


あたしは基本真面目人間だ。講義を適当にサボる学生が多い中、あたしはご丁寧にちゃんとノートをとったり教科書にラインを引いたりと、真面目に講義を受けることが多い。


だって、高い学費を親に出してもらってるんだもん、真面目にやんないと申し訳ないし。


友達にもしょっちゅう「恵って真面目だよね〜」とか「もう少し適当にやればいいじゃん」とか言われている。


でも、これがあたしの性分で今さら変える気だってさらさらない。


だから、そんな真面目でお堅いあたしにとって、不真面目でだらしない人間は相いれない存在だったのだ。


そう、おそらく目の前のこの男のような。


「嫌です。講義に出ないなら欠席で仕方ないでしょ」


冷たく言い放っても、食い下がってくる男。


「頼むって、俺これだけは単位落とせねえんだよ」


「だったら他の人に頼めばいいでしょ、あたしは嫌です」


そう言って出席票を男の目の前にハラリと落としてやる。


すると、男は舌打ちしてからキャップを脱いで、あたしを睨みつけた。


その瞬間、不覚にもあたしはドキッとしてしまう。


小さな顔に、釣り上った細めの眉、同じく釣り上った大きな鋭い瞳。小ぶりだけどスッキリした鼻筋。薄くて小さな唇。


その男は目を見張るほどイイ男だったのだ。


「んだよ、ケチくせーな。一緒に出すだけなんだからいいじゃんか」


なのに、性格は最悪。


なんなの、この傲慢さ。


あたしも、つられて舌打ちが漏れた。




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