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悪戯〜いたずら〜
【コメディ 官能小説】

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ヴァイブレータ・3-1

――ヴァイブレータ・3


 特大バイブくんは、みんなの嫌われ者でした。

「あんたさぁ、大っきすぎて入んないだよ!」
「他のヤツより電池が重いから腱鞘炎になんだよな!」
「濡れ具合が足りないとホントに痛いんだよね!」

 あそこが小さいなら無理して入れなくたっていいし、重いのは今更もうどうしようもないし、濡れ具合が足りないのは、彼氏の前戯がヘタクソだからだろ……なんて思うのですが、何故かみんな、自分がいい加減な買い物をしてしまったコトは棚に上げて、都合の悪いことは全て特大バイブくんの所為にしてしまうのです。

(どこかにちゃんと僕の特徴を活かして使ってくれる人って居ないのかなぁ?)

『バイブ翁』や『バイブ・オン』に売りに出されるのはコレで10回目でした。しかし、いくら特大とはいっても、アタマの部分は、大人の握りこぶしの半分くらいの大きさしかないのです。現実に、これくらいのアレを持つ男性だって珍しくありません。要するに “慣れの問題” なんですよね。だから常々、もう少しチャレンジ精神が旺盛な女の人に僕を使ってもらいたいと特大バイブくんは考えていました。
 でも、女の人の方の事情だって十二分に解ってしまうのが、不本意ながら、業界経験の豊富な特大バイブくんの哀しい性なのでした。
 特大に慣れてしまうと、あそこがガバガバになって、それより小さいバイブや男の人のモノに満足できなくなってしまうんじゃないの? とか、余計な心配をするお客さんだって居るでしょうし、気持ちのいいポイントだけを的確に突くことができるのなら、大きさはどうでもいいと思う人の方が多いのは、まぁ、当たり前のコトなんですよね。
 そんなこんなで、特大バイブくんが作られてから、いつの間にか3年の月日が経ってしまっていました。

 ある日の夜、『バイブ・オン』の大人のおもちゃコーナーに置かれていた特大バイブくんに、向かい側の棚へ並べられていたオナホールちゃんが声をかけてきました。

「あなた、ここで一番大っきいのよね?」

 深夜の2時を過ぎると夜が明けるまでは、“おもちゃの自由時間” になるのです。

♪ おもちゃの・・・ おもちゃの・・・ ・・・ おもちゃの・・チャッ 

 どこからか、こんな歌まで聴こえてきたりして……。

「あたしが相手したげよっか?」

 ピンクに染められてふっくらとした可愛らしい外見とは裏腹に、オナホールちゃんの口から出た言葉は、とても大胆な誘い文句でした。


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