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悪戯〜いたずら〜
【コメディ 官能小説】

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ヴァイブレータ・2-1

――ヴァイブレータ・2


♪ バイブ売るなら 『バイブ・オン』

(オレ、何かアタマ痛くなってきちゃったなぁ) 

「先輩、あれって、“オン” でいいんスか?」
「オン以外に何があるんだ?」
「……。いえ、別に。一時の気の迷いだったみたいっス」
「なら、とっとと仕事に戻れよ」
「はい……でもあの、ちょっと訊いていいスか?」

「ほぉ、ようやくお前も仕事の内容に興味持つようになってきたってか?」
「いや、バイブを買い取る会社って、その後どうするのかな、と思って……」
「何だ、そんなことか。売るに決まってるだろ」
「でも、中古品ですよね、色々と大丈夫なんスかね?」
「あぁ。アレはな、表面をヤスリで削ったりして新品同様に加工してから売るんだよ」
「削ってキレイになるもんスかね?」
「まぁ、そうなんだろ。イチイチ部品を取り替えてたら商売にならんからな」
「はぁ、そッスよねぇ。でも、滅菌消毒くらいはして欲しいっスね」

「そうだな。あそこは古本も扱ってるけどな、いつ行っても臭うんだよな」
「オレも臭いって気になるんスよね。話じゃお香を焚いて誤摩化してるみたいスけど」
「いや、壁際に行くとホント臭うゾあそこ。元が紙だから仕方ないのかもしれんが」
「買い取りの後、商品を並べる前に “虫干し” とかしないんスかね?」
「そんなんやってるトコ、見たことないぞ。せめて脱臭処理くらいはして欲しい」
「そッスよねぇ。安く買い叩いといて、売るときはけっこうな金取るらしいし」
「そうそう。あそこで本買うときは100円より高いヤツ買ったら損するぜ」
「へぇ、やっぱ、そうなんスねぇ……」

 あたしはクリ派だからずっとローターしか使わなかったんですけど、コレを試してみたらすぐにハマっちゃって。っていうのは、コレってクリ刺激用のバイブなんですよ。形が靴べらみたいで、中にも入るんですけどスポットくらいまでしか届かないんですね。クリを上から平べったく包むように張り出した部分がぷるぷる震えて、それを当てるとすっごく気持ちいいんです。ローターのビーンっていう表面的で単純な刺激とは全然違って、あそこ全体をからだの中から小刻みに揺さぶってるような感じなんですね。あなたも、コレ使ったら目からウロコがって言うか世界が変わると思いますよ。

 このバイブ、すっごくヘンな形してるでしょ? 左右対称じゃないって言うか、何かバナナの皮を剥いてる途中に固まっちゃったみたいな個性的なフォルムよね。実は、そこがミソなのよ。捲れたバナナの皮みたいなところが、あそこに覆い被さるようにピッタリと吸い着いちゃうのよね。ソレの根元にモーターが埋まってて、電源を入れるとソコから振動が周りに広がっていくわけ。そしたらすぐにあそこが潤って来ちゃって、バナナの先端部分がどんどん奥の方まで入って行っちゃうのよ。さらにバナナが回転する方のボタンを押したらもう大変……ここからは、あなたが体験してね!!

「先輩、また、ちょっと疑問に思ったんスけど……」
「今度は何だよ?」
「ここって、アナル用のバイブやビーズなんかも買い取ってくれるんスよね?」

「……」
「……」

「俺、もうあそこ行くの辞めるわ……」
「そッスね……」

♪ バイブ売るなら 『バイブ・オン』


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