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【サイコ その他小説】

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彼女はこのクラスの級長であり、美術部の期待の星であり(よくは知りませんが相当の腕らしいです)、学校でもトップクラスの学力の持ち主であると言う、もしやIQを200以上に改造されたサイボーグなのではないか?と疑いたくなるような完璧人間なのです。そんな超超超高校生級の女子高生が「不謹慎ですよ」と言ったのです。私はい死体の話を得意気にしていたのが急に恥ずかしくなり、コスプレパーティに参加した猫耳チャイナ服美少女に撮影の許可を求める肥満体質のカメラ小僧のように私の周りを取り囲んでいた皆もしゅんとした面持ちで、三々五々散らばっていきます。

級長はそれを見て少し満足したような表情をして自分の席に戻ります。

私はもう友達と雑談するような気力が残っていなかったので、そのままホームルームが始まるまで静かにしていました。

程無くして、担任が教室の中に入ってきました。顔の作りも悪く年も取っていますが、きっちりした服装と、生徒の意見をまともに聞いて切れる先生なので、割と人気は高いです。

「起立」

級長の張りのある声が響きます。すると教室内では椅子の引く音で小演奏会が開催されます。

「礼」

一瞬の沈黙。

「着席」

そして小演奏会再びです。

「あー。皆、おはよう。今日は警察からのお知らせがあります」

聞かなくても分かります。昨日は何人死にました。何か怪しい事、怪しい人を見た人は、どんなに些細なことでも良いのでご一報いただきたい。って言うに決まってます

「えー、昨日は4人の方が亡くなりました。何か怪しい事、怪しい人を見た人は、どんなに些細なことでも良いのでご一報いただきたい、とのことです」

と、軽ーく言う教師。毎朝毎朝いい加減にして欲しいと顔に書いてあります。

「あー、それでは今日の連絡事項ですが…六間目の学年集会は…」

「先生」

おや?教室の一番前にいる人が先生の話を遮るように手を上げているではありませんか。目立たない奴なので名前を覚えていませんが、今見る限りかなりの矮躯です。下手をすれば中学生に見られるでしょう。斜め後ろからなのでよく見えませんが、顔も割りと童顔気味です。一言で言うと子供っぽい奴です。全体的に。

「んん?何かね」

先生が緩慢とした動作で声の主を目の内に捕らえます。

「あの…実はその…」

なにが言いたいのでしょうか?少し長めに間を置いて

「犯人を知ってるんです」

爆弾発言をしました。

「なに?」

先生もさすがに驚いた様子で

「それはいったい誰なのかね?」

と、聞き返したんです。

「先生の目の前にいる奴ですよ」

刹那、小さい生徒さんが腕を振るいました。

転瞬、先生の首から上が無くなりました。

私はその時、わぁーすごい手品だぁー、と感心しました。

すごい勢いで血が噴き出ます。私の顔が濡れました。

私はその時、うわぁーリアルな噴き出し方だなー。血も本物みたいだー、と脱帽しました。

先生の膝が崩れます。「きゃー」と言うテレビでお馴染の、よくある悲鳴。

おー、皆ノリがいいなー。ま、これほどリアルな手品じゃ仕方ないなー、と敬服しました。

気付くと教室の中には私だけが取り残されていました。

「あれ?」

と、疑問符が心の底から現れ出でました。現れ出でてしまいました。

案の定、血まみれの殺人者と目が合っていしまいました。

脱兎の如く逃げ出しました。昨日もそうしたように。



「はあはあはあはあはあはあはあはあ」

しんどいです。いったい何だって言うのでしょう。血まみれ汗まみれで咄嗟にどこかの教室に逃げ込んでへたり込みました。ツンと絵の具やニスの臭いがします。きっと美術室でしょう。

「あら?あなたもここに逃げ込んだのね?」

「…級長」

頭を上げると、そこに級長が優雅に立っていました。このような事態になってもまったく動揺が見えません。クールビューティです。キングオブ万能です。

「何だったんだろうね?さっきの」

「殺人でしょう?」

級長は事も無げに言います。全くこの人はこの年齢でいくつの修羅場を越えてきたのでしょうか?凄すぎの五乗は軽く超えます。


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