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19歳
【ラブコメ 官能小説】

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後奏-2

 帰りに、コンビニで、ロックアイスを10袋買った。一度には持てないから、店の人に
自転車まで運んでもらって、ハンドルの両側にぶら下げ、必死にペダルをこいで、何とか
マンションまでたどり着くことができた。あとは、2回、部屋と駐輪場を往復して、氷を
全部3階にあるナオくんの部屋に運び込む頃には、汗だくになってしまった。

 机の上の時計を見ると、もう夕方の5時近くだった。

(げっ、マーガリン、とろけてるよ…)

 冷蔵庫の扉を開けてみると、まだ少し冷気が残っていたものの、もう少しでヤバいとこ
ろだった。あたしは、急いで中の物を上の段の冷凍庫に移して、買って来たロックアイス
を一緒に詰め込んだ。残りの氷は、冷蔵庫の中にしまった。やっぱり、ちょっととろけて
しまったマーガリンは、電気が復活すれば、何とか固まるかもしれない(?)。

(とりあえず、これで、ひと安心っと…さて…)

 部屋の中は、完全にサウナ状態で、窓を開け放して空気の入れ替えをしてみても、湿気
がマシになるだけで、気温は、ほとんど下がらなかった。
 せっかく、シャワーを浴びてから出かけて、さっき、サロンで髪も洗ってもらったのに
大量の氷をここまで運んだおかげで、汗まみれになってしまっている。ナオくんが帰るま
でには、早くても、まだ1時間くらいはあった。

(ここは、もう、ウォータープレイしかないわね)

 あたしは、着替えを入れてあるスポーツバッグから、水泳用のゴーグルと大きなヘッド
ホンを取り出した。あと、部屋のコンセントに差し込んで充電していた音楽プレイヤーを
ソコから外して、ヘッドホンとお揃いの防水パーツを取り付けた。
 ぱぱっと衣服と下着を脱いで、洗面所の洗濯かごに放り込むと、全裸になったあたしは
さっきセットしたヘッドホンとプレイヤーを持って風呂場に駆け込んだ。
 扉はわざと閉めずに、ゴーグルを嵌めて、その場に立ったまま、プレイヤーのスイッチ
をオンにする。再生するのは、もちろん、あの曲だった。

 ♪ fly away now fly away now fly away…

 あたしは、冷水シャワーを浴びながら、ボリュームを上げて何度も何度も繰り返し同じ
曲を聴いた。途中から、声を出して一緒に歌を歌った。

 何回目かのリピート待ちのとき、誰かがマンションの玄関ホールの前に自転車を停める
音が、開け放した窓の外から聞こえた。聞き覚えのあるスタンドを上げるときの音。

(おぉ、お早いご帰還!!)

 濡れたままの足で、素早く冷蔵庫まで走って行き、ロックアイスの袋を5個取り出すと
それを担いで、急いでまた風呂場まで戻った。床に氷の袋を積み上げて、何食わぬ顔をし
て、再び歌を歌い始める。同時に、玄関の扉のカギをガチャガチャといじくる音がした。


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