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新・ある季節の物語
【SM 官能小説】

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(夏編)-2

今、密かにつきあっている彼に、縛らせて欲しいなんて言われたときは戸惑ったが、初めて縛
られてセックスをしたとき、あそこの中がキュッと締まるような快感は、ほんとうに久しぶり
だった。


彼の名前は、カガワ イツオ…


私より七歳ほど年上だ。今は、大手の投資会社の顧問をやっているみたいだが、これから独立
した会社を準備しているそうだ。

痩せているが背が高く、わずかに白髪が混じった艶やかな髪と優しげな甘い顔つきが、私の胸
をとらえた。つきあっていることは、近所にはまだ内緒なので、ふたりで会う場所もこの街か
ら離れたところに限っている。


カガワさんとは、半年前に彼がこの旅館に宿泊したときに知り合った。

偶然の出会いってあるものだと思った。たまたま深夜に私の旅館の前で彼の車が故障し、困っ
ていたところ、目の前に私の旅館があり、泊まることになったのだ。


…女将さんって、かわいい方ですね… ユリコさんって名前なんですね… 

初めて彼と出会ったときにそう言われ、お世辞かと思いながらも、私は胸の中から初々しく
火照ってくるものを感じた。

そして、数日後、私は彼から食事に誘われたのだった。それ以来、ずっとつき合っている。


以前、つきあっていた若い男は、お遊びのつもりでつきあってあげた。何よりセックス好きの
男だった。前戯もなく、いつも強引に挿入して彼だけが先にイッてしまう、ツマラナイ男だ。

それに比べて、カガワさんのSM趣味は、ふつうのセックスよりましだ。縛られたからだを
じわじわと緊められながらも、ときに優しい言葉とともに私のからだの隅々まで愛撫されると、
なぜかこれまでと違うところの自分の性が潤み、縛られたままカガワさんのものを含んだ私は、
溢れるような蜜液で濡れ、必ず最後までイッてしまうのだった。


今度は本気だわ…。そして、再婚するラストチャンスだと、自分でも思っている。

カガワさんのことを思い浮かべると、浴槽の中で伸ばした自分のからだが、しっとりと蕩ける
ように潤んでくるような気がする。

彼に強く縛られるほどに、腰の線と仄白い脂肪のつき始めた下腹の肌が、瑞々しささえ取り戻
しているのが不思議だった。

それに、肌の白さとは対照的に、湯船の中でゆらゆら揺れる、ふっさりとした陰毛の翳りが、
嬉しそうに心地よく喘いでいるようだった。



土曜日の夕方、カガワさんとの約束の時間まで少し時間があったので、久しぶりに銀座に出た
私は、ケイスケがやっている喫茶店に立ち寄る。

ケイスケは、幼なじみで小学校から高校まで同級生だ。かすかに頭髪が薄くなり、ダサいオジ
サンになりかけている。銀座の裏通りで十年ほど前からオシャレな喫茶店をやっているが、彼
はずっと独身だった。なぜ、結婚しないのかと以前聞いたことがあるけど、彼はいつも曖昧な
返事をした。



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