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THANK YOU!!
【純愛 恋愛小説】

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THANK YOU!!-7



「・・・笹野」
「ハア・・ゴメンね、急に呼び止めちゃって・・」
「いや・・何か用か?」

拓斗は菜美の正面に立っているが、身体は斜めを向いている。
つまり、瑞稀の居る図書室へ向けられている。
そんなことは気にもせず、菜美は持っていた紫の袋を差し出した。

「これ・・チョコです・・!受け取って下さい・・!」
「え・・・」
「あ、あの・・お、お詫びも兼ねてて・・」
「・・お詫び?」
「・・・手を、傷付けてしまった・・」

首を傾げた拓斗に、言いにくそうに告げた菜美の手は少し震えていた。
思ったより、裏返った高い声が出てしまった。
許されるとは思っていない。ただ、受け取って欲しい。

「・・・俺は、別に気にしてないから。あれくらい」
「え・・本当・・?」
「あぁ。対した怪我じゃなかったし」

その言葉に菜美は心から安心し、嬉しくなった。
許された。
それだけで、もう心がふわふわ浮かぶようだった。
チョコを差し出した手が思わず、更に拓斗へ伸ばされた。
もしかしたら・・気持ちが通じるんじゃないか。そう淡い想いを抱いた時。
低い声が聞こえた。

「・・八神は違うけどな」
「え・・?」

ふと聞こえた恋敵とも言える子の名前。
思わず顔を上げて拓斗の顔を見る。そして、見なければ良かったと後悔した。
その顔は、菜美が見たことのない程眉間に皺が寄った・・怒り顔だった。

「・・アイツを倉庫に閉じ込めたの、お前だろ。」
「あ・・あ・・」

バレている。今まで教師にも、家族にもバレていなかった汚点。
調子に乗っている瑞稀を懲らしめてやりたくて、倉庫からもう使われなくなった南京錠を持ち出して、瑞稀が中に入ったのを確かめて外から鍵をかけた。
そのあと、どうなったかは知らないが・・次の日から二日間休んだのを見ると助け出されたようだが・・むしろ調子に乗っていたのは変わらなかった。



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