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THANK YOU!!
【純愛 恋愛小説】

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THANK YOU!!-8



ここまで鈍感だと思っていなかった拓斗は、呆れるを通り越してもはや諦めの考えに移った。こうなったら、やけだと思う。

「・・バレンタイン、だろ。今日」
「・・・・・・・・・あぁ!!今日だったの!?」

だいぶ間があったような気がしたが、ちゃんと思い出した瑞稀は今日のクラスの盛り上がりに納得がいった。
そして、拓斗が瑞稀を殴った理由も。

「・・もしかして、私からのチョコ。欲しかったの?」
「・・・・あぁ。」
「・・・・それで、殴ったのか・・。まあ、忘れてた私が悪いけど。」

珍しく素直に頷いた拓斗に、殴ったことを許してあげようと思った時。
瑞稀の手にポッキーがあることに疑問が生まれた。

「・・・って、待って。何で私が貰ってんの!?」
「別にイイだろ?どっかの国は、男からあげるみたいだし。」
「いや、ここ日本!This is Japan!!」
「・・・それ、なんかのマンガだろ。ちなみに英語違うぞ。」

どこかから拾ってきたマンガのセリフの間違いを指摘された瑞稀は拗ねる表情になった。
そして、机に座ると(注:やってはいけません!)箱を開けて、ポッキーを取り出して口に入れる。
甘い、甘いチョコが凄く美味しく感じた。
それと同時に、バレンタインを忘れていた事に少し後悔した。

「・・拓斗。ゴメン。ホワイトデーに、クッキーあげるから許して?」
「いや、別に、イイけど・・もらう」
「うん。頑張るね!・・・あ、はい、拓斗!」

もう一本取り出した瑞稀は、それを拓斗の口元に持っていった。
驚き、顔を赤くして狼狽える拓斗に笑いながら更に進めて、唇に押し付けた。

「ハイ。食べる。今日はチョコ食べる日なんだから」
「・・・・分かった。」

もう、何を言っても聞かない瑞稀に抵抗を諦めた拓斗は大人しく口にポッキーを入れた。
ポッキーをほおばったのを確認した瑞稀は手を離そうとした。
しかし、拓斗の右手で掴まれてしまった為にそれが叶わない。
顔を赤くさせて拓斗を見るが、それより先に拓斗が顔を思い切り逸らした。
すると・・ぽきっという小さい音がした。

拓斗の手に包まれている瑞稀の手には半分。拓斗の口には、チョコ部分の半分。
その音で、お互いの顔を見た二人は笑顔を零した。

「・・帰るか?」
「うん!」

笑顔で頷いた瑞稀は椅子に置いていたランドセルを持つと何も持っていなかった拓斗と一緒に図書室を出た。


(「何で荷物ないの?」)
(「ん?一回家帰ったから。で、ポッキー持って図書室に直接きたんだ」)
(「うっそ。マジかぁ・・。ありがと!」)
(「・・い、いや・・別に・・・」)


(「・・・お二人さーん・・てか瑞稀ー・・ウチの事忘れてない・・?」)






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