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カラスの巣(短編小説)
【熟女/人妻 官能小説】

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第11話 最後の晩餐-1

チュッ・・・・・・

突如、陽一の頬に温かい潤いの感触が伝った。
その感触で、陽一は暗闇から光を得た。
その光の先には、髪を後ろに結った玲子が居た。

「ふふ・・・・・・お目覚めはいかが?」

一瞬、夢かと思わせたが、目の前の玲子は明らかに、陽一の頬にキスをした後だった。
昨晩の、二人の関係が親密であった事を伺わせていた。
しばらく辺りを見回すと、陽一は裸のままで毛布を掛けて、ベッドの上に寝ている事に気付いた。
隣には、誰かが寝た形跡があり、目の前の玲子に間違いは無かった。
ただ、眠りに付いた記憶は無く、最後に覚えていたのは、仰向けの陽一の上で馬乗りになりながら身体を反って乱れる、玲子の姿だった。
そのまま玲子の中で迎えると、気を失う様に眠りに付いたと思われた。
陽一は思い返す中で、玲子との関係が一線を越えた事を改めて実感していた。

シャー・・・・・・

物想いにふける陽一を尻目に玲子がカーテンを開けると、沈みかかる日の光が差していた。

「ママ・・・今何時ですか?」

「もうすぐ6時になるわよ」

「6時って?・・・・・・」

「もちろん夕方のよ。もう・・・陽一さんたら寝かしてくれないんですもの・・・・・・」

玲子は、陽一に話し掛けるとベッドに腰を下ろした。
その姿は、すでに黒いカラスを脱いでおり、上は白のブラウスに、下はグレーのタイトスカートとベージュのパンティーストッキングを履いた清楚な格好だった。
化粧は、店にいる時よりも淡く、染みやソバカスも目立ったが、逆に親近感も感じられた。
さらに、後ろに三つ編みに結った髪がどこか優しく見えて、玲子の内面が表向きに現れていた。
初めてみる、店とは違うありのままの玲子の姿が、近親者の様な身近な存在にさえ見えた。
陽一は、その新鮮な気持ちに浸りたく、しばらく玲子を遠回しに見ていた。

「どうしたの?・・・さっきから私の事ばかり見て・・・・・・。あっ・・・もしかして後悔してるの?・・・こんなおばさんと寝ちゃって・・・・・・」

「い・・いいえ・・・そんなつもりじゃ・・・・・・」

「ふふ・・・良いのよ無理しなくとも・・・このまま付き合ってもらおうとか、野暮な真似はしないから・・・・・・。私は一晩だけでも、陽一さんにお相手してもらっただけで満足なの。本当・・・初めてとは思えないくらい激しくて、良かったわよ」

玲子は、昨晩の陽一との事を思い出すと、脚をモジモジさせていた。
玲子の潤いは敏感だった。

プルルル・・・・・・

突如、その潤い近くのスカートのポケットから着信音が鳴った。

「あっ!?・・・いけない・・・・・・」

玲子は、スカートのポケットから携帯電話を取り出して相手を確認すると、慌てて開いて電話に出た。

「ごめん・・・ごめん・・・忘れてた」

陽一はしばらく、玲子の一方的な会話を聞いていた。
その時の口調は、店にいる時よりも親しげで、初めて垣間見る玲子の言葉だった。

「違うって・・・そんなんじゃないのよ。昨日はお店の方が忙しくて帰ってこれなかったの・・・・・・。はいはい・・・それじゃあ、また来週にでも・・・ブツッ・・・あら・・・切れちゃったわ。もう・・・しょうがない子ね・・・・・・」

「すいません・・・今日は何か約束でもあったんですか?」

明らかに一方的に切られた電話に、要因はいつまでも居座る自分にあると思った陽一は、気になって玲子に尋ねた。
それに対して玲子は、苦笑いを浮かべて申し訳なそうに首を横に振ると、携帯電話を閉じて鏡台の上に置いた。

「いいのよ・・・別に陽一さんが悪いんじゃないんですもの・・・私が、ついうっかりしてたのよ」

「誰からだったんですか?」

「私の娘・・・最初の旦那との間に出来た子なの。今は別々に暮らしてるんだけど、たまに休みの日には、私のマンションの方に尋ねて来る事があるのよ・・・・・・。本当・・・電話の一本でもくれたらいいのにね」

「それじゃあ、僕はそろそろ帰らないと・・・・・・」

「別に良いのよ・・・私にとっては、陽一さんとの時間の方が大切なの。だから、もう少しゆっくりしていって下さいな。それに、どうせあの子の事だから・・・来週にでも何食わぬ顔しながら尋ねて来るわよ」

玲子は、起き上がろうとする陽一に手を差し伸べて引き止めた。

「その娘さんは、おいくつになられたんですか?」


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