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カラスの巣(短編小説)
【熟女/人妻 官能小説】

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第10話 二人の始発-1

「このまま続けます・・・・・・」

陽一は泣き止むと、突如として言葉を発した。

「えっ!?・・・・・。ま・・まあ、続けるって・・・仕方ないわよね。ここまで来て、陽一さんも男の人だし、我慢できないのは分かるわ・・・・・・。こうなった以上、私も気分が乗るか分からないけど、陽一さんの為に頑張ってみるわ」

それに対して玲子は、言葉の意味も分からず何を勘違いしたのか、また陽一を誘惑するようにベッドに肩肘をついてヌードモデルの様なポーズを取った。
しかし、その表情は誘うしぐさと異なり、困惑の色を隠せずにいた。

「ありがとうございます!・・・僕もママの為に、もう一度頑張ってみます!」

「そんな・・・陽一さんは改めて頑張らなくとも・・・初めてなんだから落ち着いて・・・それに、まだ何も分からないんだから・・・ゆっくり慎重に行かないと、いきなり来るわよ?」

「それは大丈夫ですよ・・・酔いの方はすっかり覚めましたから・・・・・・。それに
・・・落ち着いてと言っても、もう我慢できないんです。身体が疼いちゃってしょうがないんです」

「あ・・あらそう・・・それは頼もしい事・・・・・・。わ・・分かったわ・・・陽一さんに全てお任せしますわ」

玲子は、身構える様に目を瞑った。
そのまま胸元を曝そうと、はだけたチャイナドレスに手を掛けた時だった。

「えっ・・・ど・・どうしたの?」

「もう帰るんですよ。そろそろ、始発も来る頃だし・・・・・・」

陽一はベッドから立ち上がり、脱ぎ捨てらていたボクサーパンツを履いていた。
玲子は、その気配に気づいて目を開けると、曝そうとしていた胸元を、慌てながら元のように覆い隠していた。

「帰るって・・・私とは?」

「ええ・・・もちろんママには感謝しています。僕の目を覚まさせてくれたんですからね。だから・・・すぐにでも、それに答えようと思って、今から家に帰って資料でも漁るつもりです」

「それじゃあ・・・このまま続けるって・・・・・・」

「もちろん会社の事です。ママに勇気づけられて、もう少し頑張ってみようかと思ったんです」

「あら・・・やだ・・・私ったらてっきり、陽一さんが・・・・・・」

『このまま続ける』の意味合いを、行為の事と勘違いしていた。
素直に迫る陽一に圧倒されて、玲子は再び覚悟を決めていたのだ。
その勘違いした羞恥心から逃れるように、玲子は顔を俯いて頬を赤らめていた

「えっ?・・・僕が?・・・僕がてっきりどうかしたんですか?」

「あっ・・・て・・てっきり陽一さんが、まだ酔っているのかと思って・・・・・・」

「もう・・・からかうのは止めて下さいよ。さっきも言いましたけど、僕は酔ってなんかいませんよ。ですから・・・僕の本当の気持ちなんです」

「そ・・そうよね・・・ごめんなさいね。それよりも・・・今の陽一さん何だか生き生きしてるわ。まるで・・・初めて会った頃に戻った見たい。これならきっと、川端さんも何か手助けはしてくれるはずよ」

玲子は気を取り直して、改めて陽一の心の変化に気付いて感心していた。

「そうでしたよね。あの頃は、僕も部長の事は理解していたし・・・怒られてもバネにしてきました。でも・・・いつからか部長の事を信じられなくなって・・・てっきり僕の事が嫌いだからと思っていたんです。きっとそれが部長にも伝わっていて・・・見放された感じになったんだと思います」

「ふふ・・・今の陽一さんだったら、川端さんもきっと理解してくれるわよ。だから・・・絶対、今の仕事やり遂げるのよ。それに・・・川端さんはまだ陽一さんの事を見放して何かいないわよ」

「どうして、ママに分かるんですか?」

「えっ?・・・まあ・・・何となくね・・・ただ何となく・・・長年この商売をしてきていると勘も働くようになるのよ・・・・・ふふ」

玲子は、何かを知ってるような素振りを見せたが、微笑むように誤魔化して、その場を濁していた。
二人の間には、数分前までの張り詰めた空気はすでに無く、ただ平穏な時間だけが静かに流れていた。

「分かりました。本当にママには感謝しています。それじゃあ・・・僕もそろそろ急がないと・・・・・・」

「待って・・・もう少しだけ・・・もう少しだけ、私に付き合って下さいな」

陽一が、帰り支度を始めようと、脱ぎ捨てられたTシャツを拾うとした時だった。
不意に、玲子は手を重ねて、帰るのを引き留めていた。


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