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花火
【女性向け 官能小説】

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線香花火-4

「マ、マジっすか?」

「ウソついてどーするのよ?まだ帰って欲しくない。一緒にいたい…ダメ?」

どうしていいのかわからない、といった表情で固まってしまったクマの耳元。

「クマガホシイ」

そう囁いた瞬間、抱きしめられた。

「オレも柚季さんが欲しいです…あの…シャワー貸してもらえますか?」

「どうぞ?なんなら一緒に入る?」

クマを見上げてそう言うと、また耳まで真っ赤。

「ウソよ。ウチじゃ狭いし無理があるわ。ゆっくり浴びてきて」

クマをバスルームへ誘導し、バスタオルを渡すと部屋へ戻る。
年甲斐もなくドキドキしてる自分をごまかすように、グラスをキッチンへ運ぶと丁寧に洗った。

…こんなことになるなら、ちゃんと鍛えておけばよかった

昔はスポーツクラブに通ったりもしていたけれど今はたいした運動もしていない。

…脱いだら幻滅されちゃったりして…
 っていうか、こういうこと久しぶりだから、ちゃんと受け入れられるかな
 むしろソッチのほうが重大問題かも…
 でも今更今日はやっぱりヤダとか言えないし…

そういやひとりエッチすら最近していない。
こうやって干からびていくもんだとある意味諦めの境地に達していたのに。

…まさかこんなに年下のカレシが出来るなんて。
 まして相手が数十分前までただの、ではないな。
 少なくともお気に入りで可愛い後輩のクマ、だなんて…

そんなことをとりとめもなく考えていたとき、ガチャり、とバスルームのドアが開いてタオルを巻きつけたクマが出てきた。

「すみません、先に借りちゃって…」

「気にしないで。もう少し飲む?」

「や、お水ください。これ以上炭酸はさすがにキツイっす」

「了解。あ、TV好きなの観てて」

「…はい」

リモコンと水を渡して、今度はクマに見送られて私がバスルームへ。
クマが着ていた洋服が貸してあげたハンガーに吊るされてるのがすごく不思議。
どうしよう、とおもったけれど、いつも通りの順序でシャワーを浴びる。
ちょっと抵抗がなかったわけではないけれど、メイクも落として。
鏡を見ると、目尻の小じわがなんとなく気になる。
さっき触ったクマのぷりぷりのほっぺを思い出してちょっとジェラシー。
自分だけパジャマとかルームウェア着て出て行くのもなぁ、と思いつつ
いきなりバスタオル1枚で出て行く勇気もなくて。

…あぁ。ウジウジしてるのは性に合わないっ

「クマー」

ドア越しにクマを呼ぶ。
気づかれなかったらちょっと寂しいかもと思ったけれど近づいてくる足音にホッとする。

「どうしました?」

「あのさ。裸にバスタオルと、パジャマとどっちがいい?」

「はいー?」

「ねぇねぇ、クマはどっちが好み?」

ドア越しの間抜けな会話。

「…裸にバスタオルで…」

「了解。部屋の照明、少し落としてもらっていい?」

「わかりました。部屋、戻ってますね」

「うん」

遠ざかっていくクマの足音。
よし、これで覚悟は出来た。
手早く化粧水と乳液だけつけて、バスタオルを巻きつける。
うーん、なんだか落ち着かないけれど思い切ってバスルームの扉を開ける。

「…お待たせしました」

「いえいえ…」

ベランダで線香花火をしていた時とは全く異なる静寂。
水を飲む音だけが、小さな部屋に響く。

「クマ?」

「はい?」

「抱っこ」

ベッドサイドに腰を下ろし、両手を広げて見る。
クマは少し苦笑しながら隣に同じように腰を下ろすと、
優しく背中に手を回してくれた。

「…すごいドキドキしてる」

クマの胸にそっと耳をつける。

「そりゃしますよ…柚季さんはドキドキしないんですか?」

「そりゃしてますよ。確かめてみる?」

胸から頭を離してクマの顔を見上げる。
目が合うと、キスをひとつ。
さっきみたいな激しいオトナのソレではなく、穏やかなキス。

「確かめてもいいですか?」

「もちろん」

そのままそっとベッドに私を横たわらせると、そっと覆い被さるような形になった。
何度も何度も優しいキスが振ってくる。
唇が離れて目が合うたびに微笑みあう。
私の髪を撫で、剥き出しになった肩を撫でるクマの手。
私の手がクマのほっぺに触れたことがまるで合図になったようにクマの手が肩から胸へと移動した。
バスタオルの上から、形を確かめるように、でも遠慮がちに。

「あっ」

バスタオル越しの乳首に指が触れたとき、思わず声が漏れてしまった。
なんだかたったそれだけの刺激に反応してしまったことが恥ずかしくて、思わず顔をそむけてしまう。

「柚季さん顔真っ赤。カワイイ」

いつもより低い、クマの声にカラダの奥が反応した。

「これ、外してもいいですか?」

タオルの合わせ目に指をかけて、私の目を覗き込むように尋ねられて頷くともう一度優しいキスをしたあと、タオルに手をかける。

…裸になる、ってこんな恥ずかしいことだったっけ?

「ホントに柚季さんもドキドキしてくれてるんですね」

乳房を包み込むように置かれたクマの手。

「…だから言ったでしょ?」

強がってみるけど、あまり意味がないというか。
年上の余裕でリードしなきゃ、とか絶対無理だわ、こりゃ。
まるで処女じゃなくなった時みたいだ。

「柚季さん、カワイイ」

「何?胸?ちっこいから?」

ムスっとする私、苦笑するクマ。

「胸ちっこくないじゃないですか。柚季さんがカワイイんです」

クマから『カワイイ』って言われるのってなんとなく不思議な感じ。
冗談だったりなだめる時に言われることは今までにもあったけれど。


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