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或る恋の物語
【熟女/人妻 官能小説】

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愛すること-1


その日は朝から暖かい日だった。

春の日まではもう少しというところだが、
時々、寒い日があったり、その日のように暖かくなったりと、
それを繰り返しながら、少しずつ春に近づいていくようである。


私は新宿の小田急線の改札口で待っていた。
黒っぽいコートを着て、首にはマフラーを巻いている。
私が待っているその人は私の恋人のかおりだった。

駅の周辺には色々な人が行き交っている。
人が行き来するのを見ながら、私はぼんやりと思っていた。

(もうすぐ春になる・・かおりとは何回目の春になるのだろうか)
漠然とそんなことを考えていた。



その日の新宿駅は平日の午前中であり、それほど混んではいなかった。
私が時計を見ていると、私の肩を叩いた人がいる。
思わず私は振り返り、その人の顔を見て微笑む。

そこに起っているのは待ち人のかおりだった。
彼女はコートを着て大きなバックを持ち、私の前に立っていた。

「お待たせしました、ご主人様」
「あぁ、かおりちゃん」
「待った?」
「いや、それほどでも」
「そう、よかった」

かおりというその女性は、ニコニコと微笑んでいた。
初めての私との一泊旅行に、気持ちが浮かれているのだろうか。
どこか、浮き浮きとしているようにみえる。


彼女は、私との逢瀬で気持ちが高鳴っているようである。

こうして私とは8年という長い期間を、短い時間の逢瀬の中で共有し
すっかり身体も心の私のものになっていた。



彼女なりに今日の旅行をどんなに夢見ていたことか、想像に難くない。
早く大好きな私に抱かれ、一つになって幸せになりたい。


そう心の中では熱くなっていた。



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