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カラスの巣(短編小説)
【熟女/人妻 官能小説】

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第2話 ピンクのダブルベッド-1

カラン・・・・・・

突如甲高い音が、陽一の耳元を付くと、頬に冷たい感触が伝った。
その音と感触で、陽一は暗闇から光を得た。
その光の先には、グラスを持った玲子が居た。

「ふふ・・・・・・お目覚めはいかが?」

陽一は玲子の言葉で、自分が眠りに着いていた事を改めて認識した。
しばらくあたりを見回すと、淡いピンクのダブルベッドの上に毛布を掛けられて寝かされているのに気付いた。
そのダブルベッドには、玲子も脚を組みながら腰を掛けており、まるで陽一を看病してるようにも見えた。
玲子が手に持つグラスには、氷と焼酎の水割りと思われる物が注がれていた。
陽一の耳元で鳴る甲高い音は氷の音で、頬に伝わった冷たい感触は、その氷で冷やされたグラスの感触だった。
おそらく玲子が、冷やかし半分で冷えたグラスを、眠る陽一の頬にあてがい起こしたものと、陽一は思った。

「はい、お水よ。」

この言葉で、グラスの中身が水割りでは無く、水である事が確定した。
玲子が陽一の酔い覚ましと思い、差し出したのだ。
徐々にと状況を把握する中で、その前に途絶えた記憶が、上司の川端と一緒に目の前に居る玲子の店で飲んでいた事を思い出した。
その記憶の断片を繋ぎ合わせる、今の異様な状況を考えると陽一は不可解に思い、突然ベッドから上半身だけ飛び起きた。

「ママ・・・・・・いったいここはどこ?」

陽一は玲子に尋ねると、改めてあたりを見回した。
その陽一の寝てるダブルベッド以外には、鏡台と白いタンスが置いてあり、少し手狭ながらも寝室としては十分な広さだった。
タンスや出窓には、数点のぬいぐるみが置いてあり、目の前の玲子から漂うフローラルな香水の香りも合い重なって、女を演出する空間になっていた。
さらに、出窓の脇には、背広の上下にYシャツとネクタイがハンガーで掛けられており、毛布の下の陽一の格好が、Tシャツとボクサーパンツだけの姿である事を改めて認識させられた。
そして、目の前の玲子は、スナックに居る時と同じ出で立ちの、黒い魅惑のカラスだった。

「私のお家よ。ここまで運ぶの大変だったんだから」

「それじゃあ、あれから僕は!?」

「もう、川端さんが帰ったらそのまま寝ちゃうから、私どうしようかと思って困ったのよ。だって、お店も閉めなきゃいけないでしょう?。だから、そのまま陽一さんをお持ち帰りしちゃった分けなのよ」

「僕を?お持ち帰りですか!?」

陽一は、細い眼を見開くように丸くしながら驚いた。

「そうよ、お持ち帰りしちゃったの。あら?そんなに驚いて、年増は嫌いかしら?」

「べ・・・別にそう言うつもりじゃ・・・・・・」

「だったら、そのお礼をしてもろうかしら?朝まで時間もあるし・・・・・・」

玲子はたじろぐ陽一を尻目に、ベッドの上に上がった。
そのまま陽一の胸に手を当て寝かせると、身体を重ねて両手を付いて距離を取った。
その時、玲子は脚を横に崩しており、チャイナドレスのスリットからは、黒い誘惑が悩ましく陽一の目に映っていた。

「うふ・・・・・・陽一さんのようなお若い方だと、私本気になっちゃうかも」

玲子は笑みを浮かべながら見つめると、徐々にと身体を密着させて顔を近づけた。

「ママ・・・・・・」

陽一は、困惑しながらも胸が高鳴り、覚悟を決めた。
しかし、玲子の飲んだ酒の口臭が、陽一の鼻に付くほどの距離に近づいた時だった。

「ふふ・・・・・・冗談よ、冗談。陽一さんたら、真剣な顔をなさるんだもの、何だか可笑しくって・・・・・・ふふ」

突如と玲子は笑い出し、真意を打ち明けた。

「冗談・・・・・・ですか?」

「そうよ。それに、ここは私のお店で、陽一さんは二階で寝てるだけよ」

玲子の店は、以前に住み込みで喫茶店を経営してるオーナーから譲り受けていた。
それ故に、小さいながらも、二階には衣食住が出来るほどの居住スペースが確保されていた。
それでも玲子は、店に住居を構えてるわけでは無く、実際は近くのマンションで暮らしていた。
ただ店を開ける日は、ほとんど泊まり込みが多かった。


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