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お隣さん
【若奥さん 官能小説】

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紀子の場合-2

 テレビを見ながらご飯を食べる。
 一人で食べるご飯は味気ない。料理本を見て一生懸命作ったけどおいしくない。
 味見した時は満足いく味だったはずなのに。

 夫の夕飯をラップして冷蔵庫の中に入れる。
 どうせ食べないけど、一応夫にメールを打った。

 『冷蔵庫に夕飯があるから良かったら食べてね』

 メールの返事はいつも来ない。
 夫は必要最低限の連絡しかとらない。付き合っている時はそれなりにメールが来ていたが、結婚したら全く来なくなった。

  

 お風呂のスイッチを入れ、リビングでテレビを見る。
 
 こんな生活を2年も送っていると、どの曜日にどんな番組がやっているか番組表を見なくても分かる。
 
 今は番組編成の時期で面白い番組はやっていなかった。
 たまたまつけたお笑い番組をしばらく見ていた。
 面白いことを言うたびに観客が笑う。

  つまらなくなってチャンネルを回した。
 一通り回した後、動物ドキュメンタリーを見た。
 極寒の地で生き抜くホッキョクグマの生態が映し出される。
氷に覆われた世界を悠然と歩くホッキョクグマ。ナレーターがホッキョクグマの気持ちを代弁するように解説する。

 『絶滅危惧種の彼らが生き延びるには壮絶な世界。容赦なく氷粒を含んだ風が吹き荒れます。それでも彼らは何十キロ、何百キロとえさを求めて歩くのです。地上最大の肉食動物と言われている彼らがこの世界で生き延びることは至難です』

 ホッキョクグマの生態が終わる頃、こんぺいとうの踊りが流れる。
 お風呂が沸いた。

 テレビを消して、急いでお風呂に入る。
  
 泡立てたタオルからほのかに香るバラの匂い。
 ムードを出すために少し高い石鹸をおろしたのに、結局無駄になってしまった。

 夫が私に触れたのはいつだっただろう。
 たしか夫が珍しく休みの時だった。
 パソコンで仕事をしている夫をベッドに誘った。
 それはとても淡々とした作業で、悦に入る事はなくあっという間に終わった。

 息を切らす夫がよろよろとベッドから降りて部屋から出ていく。

 『君は寝てていいから』

 あれだけあった熱が冷めていった事だけは覚えている。
 
 この人は結婚向きじゃなかった。
 結婚する前は刺激ではなく、安定を求めた。だから夫と結婚した。
 結婚して安定した生活は送れているが、ここまで刺激がないとは思わなかった。

 高級マンションに住んで誰もがうらやましいという。子供もいないし、家事は午前中に済ませてしまうからすることがない。夫の食事は基本「いらない」だから、何をするのも自由。だけど物足りないのだ。
 
 


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