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カレーを食べに
【コメディ その他小説】

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カレーを食べに-2

なにを大げさな、と思われるかもしれない。価値観はひとそれぞれあるだろう。

付け加えるならば、彼女は並みの女性より、ほんのちょっぴり食いしん坊だった。

美味しいものを自分で見つけ出して、しっかりとそれを味わい、ああ、このお店に今度お友達を連れて来てあげようと思えること。それは彼女にとって最高に喜ばしいことのひとつなのだ。

さて。

この日、数ある飲食店の中から彼女が選んだのは、カレーを専門にだす店だった。

彼女はカレーをこよなく愛する乙女なので、スパイスの香りが立ち込める店内に入った瞬間に興奮度は頂点に達した。ああ、このお店はきっと美味しいに違いない。メニューを眺める。そこにはこれまた彼女が愛してやまないナンの姿が。

 このカレーの香りに、焼きたてのナン。この店を選んだ自分を誉めてやりたい。彼女は思わず神に祈りを捧げそうになるのを理性で抑え込む。

 落ちつけ。

 店員を呼ぶ。ランチメニューのひとつを指さして注文する。そこで店員は思わぬ質問をぶつけてきた。

「ハーフですか?フルですか?」

 ・・・なんだろう。ナンだけに。えっ。ナンのサイズを問われていることは理解できたけれども、ハーフとフルのそれぞれのサイズがよくわからない。まわりの客のテーブルを見渡すと、ある女性客のテーブルに1枚もののナンがあった。なかなか大きめのサイズだったが、それくらい食べきる自信はあった。


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