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〈不治の病〉
【鬼畜 官能小説】

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〈不治の病・其の三〉-8

(ち、ちょっと恥ずかしいけど……ま、いいか)


階段を下り、リビングに備えてあるモニターを見ると、見慣れた水色の作業着を着た男が立っていた。
帽子を深く被っているので顔は見えないが、いつも来る運送業の人らしい。


{亀田さん、小包です}


玄関のすぐ前まで、後ろのハッチを開けたトラックが来ており、配送員が小包らしき物を手にして立っている。
まさかそのまま帰す訳にもいかず、絵莉は玄関のドアを開けた。


『すいません、この紙にハンコかサインお願いします』


配送員は顔を下げたまま、小さな用紙を差し出した。絵莉は疑いもせずに用紙を手に取り、サインをしようと右手側にある靴箱の方に身体を向けた。


「!!!!」


配送員はいきなり絵莉に襲い掛かり、左手で口を塞ぎ、右手で後ろから右肩に抱き着いた。
突然の状況に思考回路は混乱したが、身の危険を察知した身体は、口を塞いでくる左手を振り払おうとして、両手で掴んで引き剥がしにかかった。


「ぶはッ!!…だ、誰か…ッ…」


例え身動きがとれなくても、悲鳴さえ出せたら誰かが助けに来てくれる……その本能の指示は間違ってはいなかったが、絵莉を襲う男は一人ではなかった……せっかく引き剥がした掌の他に、新たな掌が絵莉の口を塞ぎ、更に抱き着いて床に押し倒してきた。


『は、早く大人しくさせろ!!思ったより力強いぞ!!』

『慌てんなって。コレで終わるからよ』

「んぐぐぐッ!!!」


二人の男に捩じ伏せられ、更にもう一人の男が玄関に突入してきた。
ドアが閉められ密室と化した玄関で、絵莉は必死の抵抗を繰り返す。
身の危険に爆発した火事場の馬鹿力は、あと少しで二人掛かりの男さえも跳ね退けられるところだった……首筋に押し当てられた黒い物は、バチバチと笑いながら絵莉に激痛を与え、抗える体力を吸い取っていった……。


『ふぅ〜…危ねえ。馬鹿力出しやがってよ』


三人の男は床に倒れたままの絵莉を見下ろし、安堵の表情を浮かべていた。
そして、一人の男はトラックに戻ってシーツを運び込み、絵莉の隣にそのシーツを敷いた。


(……な…何するのよ!?やめてよぉ!!)


叫んだはずだった。逃げ出したはずだった……口を塞ぐ物は無く、身動きを妨げる物も無い……しかし、手足は鉛のように重く、顔面自体が引き攣ったように固まったまま……。



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