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THANK YOU!!
【純愛 恋愛小説】

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THANK YOU!!-4


その声で、瑞稀たちの動きが止まった。
そして、ゆっくりと振り返ると、そこには今の今まで噂されていた人物。
噂をすればなんとやら・・ですね。

「鈴乃・・」
「・・おはよ」
「う、ん。・・おはよ」

一昨日のことがまだ残っているのか、初々しい挨拶と態度。
(主に瑞稀)
そんな二人の様子をいつの間にか距離をとった二人が眺めていた。
そして、ヒソヒソと、瑞稀たちに聞こえないように話す。
その話はきっと、親友の恋愛話での相談か・・。

「ねえ千晴。なにあの初々しいの。見ててちょっと・・いやかなり・・」
「シッ!秋乃ちゃん、それ以上はダメ!腹で思っていようが、脳で思っていようが、心で思っていようが、声で思っていようがダメ!」
「・・・その言い方、千晴も全く同じこと思ってんだね」

否、全く違う。
相談どころか、結構黒い。
あと、秋乃を止めようとした千晴の言葉が一番ひどいということを分かっているんだろうか?

その二人の会話の種であるこの当事者二人はというと・・・。


「・・・」
「・・・」

・・会話、続いてません。

いつもの二人なら第三者に止められでもしない限り、会話が途切れる事はない。
だが、やっぱり、一昨日の出来事が響いていた。

「・・・・」
「・・・・足、大丈夫か?」
「・・あ、うん。少し違和感あるけど多分大丈夫。」
「そっか・・」

やっと続いた会話も、これまで。
二人の間に、気まずい空気が流れてしまう。
さらに、タイミング悪いことに・・・

「あ。拓斗くん!」
「え・・?」
「・・・あ」
「「あー・・」」

なんと、菜美が来てしまった。
瑞稀は咄嗟に一歩だけ後ずさってしまった。
拓斗はそんな様子に気づいたのか、一歩前に出た。


「おはよう!拓斗くん!」
「ああ・・。」
「宿題、やってきた?」
「まあ、一応な。」
「本当!?じゃあ、一個解らなかった問題あるんだけど教えてもらっていい?」
「ああ、いいけど」
「やったぁ!」

無邪気にはしゃいだ菜美は、拓斗の腕を引っ張って、たった今開いた昇降口の扉に向かって走り出した。
拓斗も戸惑っていたが、結局なすすべなく、連れて行かれた。
チラッと、瑞稀を見たが、視線が合わなかった。

複雑な表情で、二人を見送った瑞稀はその場に立ちすくんでいた。
そんな瑞稀の背中を叩いたのは、秋乃。

「瑞稀。連れてかれたね、鈴乃」
「・・・うん。そだね」
「・・・・いいの?・・てか、何で一昨日のことに触れなかったの?」

先程は焦れったいだのかなり・・・だの言っておいてこれもどうかと思うが。
隣には、千晴が立っていた。

「瑞稀。お礼言うとかすればよかったのに。」
「・・・そうなんだけど・・。」
「・・気まずい?」
「・・そうじゃなくて・・さ・・。」

瑞稀は、二人にポツポツと自分の今の気持ちを伝えた。
そして、どうしたらいいか・・。
珍しく、普段素直になれない親友の気持ちを聞けた二人は一回顔を見合わせた後、笑った。

「な、なんだよ・・」
「だって・・ね、千晴」
「そうそう・・」

お腹を抱えて笑い続ける二人に、瑞稀は?マークしか浮かばない。
ひとしきり笑った秋乃は、瑞稀に向き直った。

「それって、ウチらにどうしたらいいか聞くもんじゃないよ。」
「・・・え?」
「そういうのはね、本人に直接言うんだよ。どうしたらいいかもね」
「え・・でも・・」

秋乃の言葉に揺さぶられた瑞稀だったが、迷いが生じる。
そんな幼馴染みの迷いをかき消すかのように、千晴が頭を撫でた。

「大丈ー夫。鈴乃くんなら、受け止めてくれる。
・・去年の、運動会ん時もそうだったっしょ?」
「・・・!・・・うん」

千晴の言葉で、瑞稀は去年の運動会で拓斗に言われた事を思い出した。
寂しい。と言った瑞稀に、自分なりの考えを瑞稀を傷つけないように話して優しくしてくれたこと。

あの出来事は、今でも覚えている。
あの時の、拓斗のように、自分も拓斗を傷つけないように・・・気持ちを話そう。

それが、今、私のしなきゃいけないこと。

「・・言う、絶対言う。」
「うん。良かった。」
「じゃあ、今から行こうかー。」

決意を固めた瑞稀を見て安心と喜びを感じた二人は微笑み合うと、瑞稀と一緒に昇降口へ入っていった。





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