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THANK YOU!!
【純愛 恋愛小説】

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THANK YOU!!-2



いつもより早く出たはずなのに、何故かいつも通りに学校に着いてしまった。
恐らく、足の違和感のせいだろう。

未だに、何か蹴って足を擦っている感覚が残っている。
歩くたびにその感じが思い起こされる。

「・・・もう、大丈夫な筈なんだけどな」

水道の手すりに寄り掛かるとランドセルを降ろした。
そして、入れておいた大きめの青いファイルを取り出す。
それを開けると、そこには楽譜が入っていた。
8月下旬に行われる鼓笛の舞台のための曲。

今年はポップス曲が多いので、メロディーが辿りやすい。
更に、今年は瑞稀の知っている&好きな曲なので、テンションが上がっている。

音を確認しつつ、指使いをも確認すると、メロディーを口ずさみながら音符を辿っていった。
その行為が何回か終わったとき、楽譜の上に影が被った。
ゆっくり視線を上げると、そこには親友と幼馴染みが立っていた。

「おはよ、瑞稀」
「おっはー、瑞稀」
「秋乃、千晴。おはよう!」

挨拶を返した瑞稀はファイルをランドセルに仕舞って二人に向き直った。
水道の手すりから立ち上がった瑞稀を見た秋乃が、心配そうな顔をした。

「・・足、大丈夫そう?」
「うん。ちょっと違和感あるんだけどね」
「無理は禁物だよー」
「ありがと、千晴。」

千晴の言葉にお礼を言う。千晴には、怪我した日に事情を話した。
ジメジメした空気が嫌になった秋乃は、「ところで」と話を変えた。

「どうしたの?」
「は?」
「だから、鈴乃。瑞稀の病室戻った所はちゃんと昨日聴いたけど、そっからどうなったのか聞いてないよ」
「え・・えっと・・」

瑞稀は視線をあさっての方向に。
秋乃は、昨日お見舞いに来てくれた。
その時に、拓斗が瑞稀の病室に戻ってきた事は秋乃の後押しだったことを聴いた。
そして、その時に何があったか散々言うように促されたが、瑞稀は笑ってごまかしていた。

「・・(言えないよなー・・・。まさか大泣きして抱きついたって・・)」

事実、それだけなのだが。
瑞稀にとって、それは恥ずかしい以上の大問題だった。
男の子に抱きついたという羞恥心。しかも抱きついた理由が、拓斗の体温を欲したというモノ。
あの時は無我夢中だったのだが、後々思い出すと自分は何をやっているんだと叱咤したい。





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