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偽りのデッサン
【熟女/人妻 官能小説】

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第31話 バラ園-2

「お母さん・・・僕の描いた絵、駄目なの?・・・・・。」

「駄目とは言って無いわ・・・・。ちょっと、お母さんに貸してごらんなさい・・・・・。」

母親は、子供の描いたスケッチブックを取り上げると、その絵に、何本かの薄い線を描いた。

「お母さん!・・・何するんだよ!・・・・・。」

男の子は自分の描いた絵に、落書きするかのように描き足した母親に叱咤した。

「ふふ・・・よく見てなさい・・・・・。お母さんはね・・・おまじないをしたの・・・・・・・。この絵が、もっと上手くなるようにってね・・・・・・。」

母親はそう言いながら、何本も描いた線を一つにまとめると、子供の描いた絵が、精巧な物に変わった。

「お母さん凄い!・・・どうしたら、そんなに上手く描けるの?・・・ねえ・・・教えて?・・・・。」

「お母さんの、おまじない知りたい?・・・・・。ふふ・・・それじゃあ教えてあげる・・・・・。絵はね・・・一つの線じゃ、正確に描けないの・・・・・。何本も描いて、その中から正しい線を選ぶの・・・・・。その正しい線を見抜ける力があれば、素晴らしい絵が描けるわ・・・・・。」

「何本も描くの?・・・・・。」

「そう・・・何本も描くの・・・・・・。これからの正しい道を選ぶ為にもね・・・・・・。あなたも歳を重ねれば、色々な事に悩むと思う・・・・・。その中から、いくつもの選択肢をあげては、一つの答えを探してね・・・・・・。その選択さえ正しければ、きっと幸せに辿り着けるはず・・・・・・。」

男の子は、最後の意味深な言葉を理解できずに、ポカンとした表情で居た。
母親は、その言葉に隠された心情に想い深けるかのように、しばらく遠くの風景を眺めていた。

「綺麗なバラね・・・・・。バラの花言葉にはね・・・幸福があるのよ・・・・・・。あなたもね・・・このバラに囲まれるように、幾千者の人と関わり、自分だけの幸せを見付けて欲しいの・・・・・・。」

『慶・・・あなたなら、きっと上手く行くわ・・・・・。』

「母さん・・・母さん!・・・・・。」

慶は、幼い頃を振り返る中で、今になって母親の言葉を理解した。
その切なる想いに叶わぬ自分に悲しみ堪え切れず、母親の事を連呼しながら胸元の睦美を抱きしめた。
その幸せを託すはずだった、愛しき人を・・・・・。

睦美は抱かれる腕の中で、慶にとって母親でしかありえない事を実感していた。
全てが、母親の面影を背負いながら愛されてる事に気付いたのだ。
それでも、睦美は構わなかった。
形は違えども、愛されてる事には変わり無かったからだ。
そう思うと、慶の背中に腕を回して抱きしめた。
二人は今、全ての偽りを脱ぎ棄て、本当の意味での裸で、愛を感じていた。
その想いの中で、幸せを感じながらも、お互い涙枯れるまで泣いた。
そして、泣き終えた先の枯れた大地に、再び一輪の花を咲かせようと至福を求めた。
決して求めてはいけない人を想いながらも・・・・・・。

・・・・・母さん・・・・・


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