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偽りのデッサン
【熟女/人妻 官能小説】

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第2話 たたずむ女-2

後は、お互いの気持ちの高ぶりとタイミング・・・・・睦美は、それが今日訪れるか分からないにも関わらず、黒のブラとショーツに少しレースが入った、今流行りの言葉に直すと勝負下着を身に着けていた。
そうなると、絵画を始めた動機が不純な気持ちと思われがちだが、きっかけは、やはり夫とのマンネリ化した夫婦生活であった。
一人息子もいるのだが、大学に入ると実家と遠い事もあり家を出ていた。
その時から、夫だけとの生活が始まると夫婦間が一変した。
元々息子を溺愛していた夫は、旅行などの家族サービスを頻繁にこなしてコミュニケーションをしていたが、息子が居なくなると休日はパチンコか家でテレビを観るような、張り合いのないような過ごし方になった。
たまにショッピングに誘うのだが断られ、次第にそれぞれ自分の好きなような休日を過ごすようにもなった。
そんな折に、心の隙間を埋めようと、学生時代に得意としてた絵画を始めたのだ。
その頃から、夫婦生活も淡泊になり始め、皮肉にも心の隙間を埋めようと始めた絵画を利用して、満たされない欲求も埋めようと現在に至った。

待ち合わせの時間から5分が過ぎたのだが、約束のメールが届かない。
一瞬だまされたかと頭を過り、空を見上げたその時だった。

『ティロロ〜ン・・・・・ティロロ〜ン・・・・・』

軽快なメロディーのメール着信音が鳴った。
睦美は慌てて携帯を開くと、送信者が『ムーン』のメールが届いていた。
内容の方は、遅れたお詫びと駅裏の駐車場に着いたとの事だった。
男の方は車で来ており、詳しい車種とナンバーも書いてあった。
いよいよかと思うと睦美の胸は高鳴った。
それは、男との情事の期待感よりも、まったく見ず知らずの男と会う不安感の方が勝っていた。
睦美は立ちあがると、駅裏の方にゆっくりとした足取りで向かった。
足取りがゆっくりなのは、少しでも会うまでに気持ちを落ち着かせようと時間を稼ぎたいからだった。
しかし、それとは裏腹に駅の端に差し掛かると、胸の高鳴りが増してくるのだった。
そこを越えると駐車場が一望でき、待ち望んだ52歳の男の車が見えてくるのだ。
いよいよ、その瞬間を迎える時が来た。
車は、平日も重なって4、5台ほどしか駐車されていなかった。
メールには黒のミニバンとも書いてあったが、それらしき車は駅より離れた駐車場の奥の方に一台しか止まっておらず、詳しい車種などを確認しなくとも一目瞭然だった。
睦美はそれを確認すると、軽快なハイヒールの音を鳴らしながら近づいた。
徐々に、フロントガラスに人影らしき物が写ってくると、胸の高鳴りはピークに達し、このまま逃げ出したい気持ちにもなっていた。
そんな気持ちを押さえて、いよいよ男の顔を確認できるような距離に近づいた時だった・・・・・。
突然、睦美の足が止まった。
それと同時に顔面が蒼白になり、思わず何歩か後ずさりをしていた。

『な・・・何よこれは?・・・・・。』

睦美はこの言葉を、心の中で何度も連呼したのだった・・・・・・。


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