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『癒しの館』〜変態マッサージ店〜
【レイプ 官能小説】

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『癒しの館』〜変態マッサージ店〜-2

 静かなクラシック音楽が流れる店内、高級感を演出するために照明はやや落とし気味にしてある。新しい洋服の匂いが鼻をくすぐる。この匂いは嫌いじゃない。

早速、アルバイトの子がクレーマーの元へとわたしを連れていく。『お客様相談室』とは名ばかりの小さなクレーム対応用の個室。中にはいつもの初老の男性。中途半端に禿げた頭、背は低いけれど肉体労働者を思わせるがっしりとした体つき。くだらないことで長時間店員に文句を言い続ける。でも何が気に入っているのか、月に一度はやってきて新作のスーツやシャツなんかを買っていく。売り上げの面では良いお客さんなのだ。

「田中様、お待たせして申し訳ございません。お買い上げいただいた商品に何かお気に召さない点がございましたでしょうか?」

 もちろんここではいかにも申し訳なさそうな表情をつくる。頬が引きつる。相手は頭から湯気が出そうな勢いで、顔を真っ赤にしてまくしたてる。

「どうもこうもないよ、せっかく買ったのに帰ってから見てみたら・・・」

興奮しているせいで支離滅裂になる相手の主張を、適当に相槌を入れながら整理する。今回のクレーム内容は、買ったスーツに目に見えないほどの小さなほつれがあったとか。しかもそのスーツは今日は持ってきていないという。クソジジイ、と心の中で毒づきながら、しっかりと頭を下げる。

「それはご不快な思いをさせてしまい申し訳ございませんでした。それでは早速こちらのほうで修理に出させていただくか、新しいものと交換させていただきます。ええ、もちろんこちらのほうから店の者がご自宅まで伺いますので」

「・・・いや、来なくていい。またついでがあるときに持ってくる。もういい」

 田中さんのクレームはいつもこんな感じで終わる。わけのわからない難癖をつけるのは、ただ話し相手が欲しいのかもしれない。本当はきっとスーツのほつれなんて無いのだ。いつだったか世間話をしているときに妻には先立たれ、娘夫婦も遠方にいるから寂しいのだと呟いていた。

「かしこまりました。わざわざご足労いただいて申し訳ございませんでした。また今後ともどうぞよろしくお願いいたします」

 再び頭を下げる。ふいに田中さんが立ち上がり、隣に立つわたしの肩を左腕で強く抱きよせた。

「店長さん、良い体してるねえ・・・悪いと思ってるんなら、ちょっと触らせてよ」

 田中さんの右手がわたしのジャケットのボタンにかかる。シャツの上から乳房をぎゅっと握る。太ももに股間を擦りつけてくる。密室でのセクハラ。若いころなら泣いて叫んだかもしれない。でも、もう慣れた。騒ぎ立てることも無い、日常茶飯事。

 シャツの中にまで潜り込もうとする右手をそっと握って、耳元で囁いてやる。

「田中様、このようなことをされますと不本意ではありますが警察に通報させていただかなくてはなりません。よろしいですか?」

 警察、という言葉にびくりと田中さんの体が震える。おそらくは遠方で暮らす可愛い娘夫婦のことが頭をよぎったのだろう。わたしを突き飛ばして床に唾を吐き、無言でお客様相談室を出て行った。


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