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和合観音
【ファンタジー 官能小説】

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サリーチェス姫-3

ナエボロスも故郷に帰っていったが、1年くらいしてから俺を訪ねて来た。相変わらず汚い格好をしているので、少しは身奇麗にしろと説教をした。頭にはボロキレをターバンのように巻いて、相変わらず左頬に赤痣をつけていた。
ナエボロスは実は俺に頼みがあって来たと言った。
「兄貴にお願いがあるんです。実は戦争中に僕の父親が大きな借金を残して死んでいったんです。その肩代りに僕の妹が売り飛ばされそうになったので、僕が代わりに借金を返すために働きに行くことになりました。
お願いというのは、たった一人残された妹のことです。兄貴に守ってもらいたくて近くまで連れて来ました。僕は遠い所に働きに行くのでしばらく戻ってこれません。その間僕が信頼している、兄貴のところで待っていてくれるように話しています。僕と双子の妹ですが、兄貴のことを話したらとっても兄貴に会いたがっていました。だからできれば嫁さんにしてやって下さい。それが駄目でも傍に置いてやってください。お願いします」
俺はナエボロスを実の弟のように思っているから、お前の妹なら他人とは思わずに大事に守ってやると言った。すると奴は嬉しそうに出て行った。
だいぶ時間が経ってから身なりは貧しいがとても美しい娘がやって来た。ナエボロスは出発したので、自分ひとりで来たという。ナエボロスによく似てるが顔に痣はなく、身奇麗で髪が肩まで伸びてつややかである。色白く体からは仄かな花の香りまでする。
来た早々、俺の身の回りの世話をし、家のことを切り盛りしてくれた。俺は嬉しくなった。そして俺の嫁さんになってくれないかと頼むと、よろしくお願いしますと向こうでも頭を下げてくれたのだ。
ナエボロスが戻ってきたら3人で一緒に住もうとそんな話をしながら簡単な祝言をすませた。彼女はフォーリウムという名前だった。
初夜の晩、俺はフォーリウムの服を脱がせた。そしてお互い裸になって交わった。彼女はもちろん処女だった。俺は優しくした。時間をかけて愛撫し、口吸いをし、胸を揉み、そして陰部が十分濡れてきたのを確かめてゆっくり挿入した。少々出血があったが俺はそこでやめて、フォーリウムを休ませた。
2晩目、3晩目と過ごすうちにだんだん彼女も女の喜びを感じるようになった。そして二人同時に絶頂感を味わえるようになったのだ。
ある晩俺はフォーリウムに言った。
「俺がこれから何を言っても驚かないでくれ。俺はあなたが大好きだし一生添い遂げたいと思っている。
だが俺は、あなたの秘密を知ってしまった。それは秘密のままにそっとしておこうと思った。けれども一生添い遂げる相手に嘘をつき通して知らない振りをするのは裏切りのような気がしたので、一度だけ打ち明ける。その後、何もなかったことにして二人で幸せに暮らしたいのだ。だから、言う。

あなたはナエボロスだな。ナエボロスは少年ではなく女性だったんだな。
初夜の晩、あなたの裸に触れたとき、乳房にきつく布で締めた跡がついていた。胸の膨らみを隠すために締めた跡だ。そして注意深く左頬を見ると赤いインクの跡が微かに残っていた。
持ち物をこっそり調べると赤いインクと筆、そして痣の形の型紙まで見つけた。長い髪を隠すぼろターバンもな。
そしてあなたの本当の正体は城から消えたはずのサリーチェス王女ですね。
あなたはインテリトゥム隊が全滅したときにそのうちの一人の服を着て少年兵になりすましたのだ。きっとそのときは今よりも長い美しい髪だったろうに、それを刀でザクザクと切って、生き残りの臣下に手伝ってもらって、敵の死体の下敷きにしてもらったのだ。王女の服はわざと抜け穴の出口付近に脱ぎ捨てたように置かせた。
その後、おれ達の隊が攻めて来て、生き残ったあなたの臣下を全滅させた。
先発のインテリトゥム隊を全滅させることができたからこそ、そんなトリックを考えたのですね。
なぜこういうことを言ったかと言うと夫婦の間では秘密を作りたくないからだ。
あなたは今まで通り俺の良い女房でいてほしい。そしてこのことを話題にすることは二度とない」
俺が話し終わると王女は涙を流した。
「始めは貴女を利用して生き延びようとしました。でも、私はあなたと別れてからもあなたのことが忘れられなかった。一人の貧しい少女フォーリウムとしてあなたの妻でい続けたかった。でも正体を知られたからにはあなたの許にいる訳にはいきません。
あなたは敵の王女を妻にしているということで悩み、私が自分の臣下を殺した兵と一緒になったということを知って、更に私のためにも悩む。また私の臣下を自分が殺したということを知って更に悩む。私自身もあなたに知られたことで知らぬ振りを通すことはできません。その苦しみの連鎖は何処までも続きます。ですから私があなたの前から消えることをお許し下さい。」
王女はそう言うと荷物を持って出て行った。俺は何て余計なことを言ってしまったのだろうと思った。そして浴びるように酒を飲んだ。馬鹿な自分を罵り嘲笑いながら……。

それからしばらくして国境近くでサリーチェス王女が捕まったことが国中に広まった。
王宮前の広場で彼女の公開処刑が行われると言う。
俺は刀を隠し持って、広場に引きずり出された王女を救い出すべく見物人に紛れてチャンスを狙った。
俺は躍り出て処刑人を切り殺すと王女の縛めを切った。そして群集の中に逃げようとした。
だが、あっという間に兵隊たちに囲まれて、王女もろとも切り刻まれた。
俺は王女の手をしっかり握ってそのまま地に伏した。そして……。
  


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