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和合観音
【ファンタジー 官能小説】

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断崖-1

僕はこの断崖の高さを知っている。
80m近くはある。
下は波しぶきが白く舞い上がる磯になっている。
岩だらけだ。絶対助からない。
そして、陸からは降りる道がない。
海からは磯舟でも近づけないほど険しい岩が入り組んでいる。
ここは人が身を投げても上がらないという。
死体は岩の間に落ち込んで浮かび上がらない。
蟹や蛸や貝や魚が綺麗に死体を食べてくれるのだ。
骨は風化して白い砂になるのだろう。
だから僕は白い砂になる。
砂の一粒になって、広い海の中に隠れてしまおう。
僕はある歌の歌詞を思い出した。
『この空を飛べたら 消えた何もかもが
帰って来るようで 走るよ』
僕は走った。そして、空を飛んだ。
 


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