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THANK YOU!!
【純愛 恋愛小説】

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THANK YOU!!-5


秋乃と、拓斗が担任である中岡先生を連れて体育倉庫に到着した。
瑞稀に倉庫確認を頼んだ運動委員の先生は帰ったらしかった。
そのため、鍵の受け渡しは中岡先生がしたようで。
でも、体育倉庫の鍵だけは瑞稀じゃなく、見回りの先生が落ちていたのを見つけて返却していた。
何故瑞稀が持ってこないのか不思議に思っていたが、深く考えることをしなかったらしい。
そんな時に、秋乃たちから戻ってこないと聞かされ、考えなかったことを後悔した。



「・・コレ・・」

先生が後悔していると、扉に手をかけた拓斗から腑に落ちない声が聞こえたので我に戻る。

「どうしたの?鈴乃くん」
「・・あ・・いや・・この南京錠。去年、審判の仕事で倉庫確認したときに、こんなのついてなかった覚えがあって・・。」
「・・えぇ?」

南京錠を手にとってみる。
形が少々歪んでいて、錆びている。
その錆び臭さに顔を歪めた時、体育の教師を連れて秋乃が戻ってきた。

「どうしたんです。一体・・。」
「あ、田中先生。スイマセン、急に・・。」

一応中岡先生が謝ったとき、拓斗が身を乗り出した。
指さすのはもちろん・・南京錠。

「先生!あんな南京錠・・見たことないんですけど・・!」

その言葉で、田中先生は指さされる南京錠を見る。
するとその顔は一瞬にして驚きに変わった。

「お、おい・・何でこんなモノ付いてんだ・・。」

その言葉に、三人が驚いた。
一番に声をあげたのは、まだこの学校に詳しくない秋乃だった。

「どういうことですか。そんなに驚くモノなんですかアレ」
「あ、ああ。あの南京錠、錆び始めてきて鍵が入りにくくなったから3年前くらいに使うのを止めたんだ。」
「止めた・・?じゃあ、なんで、これが・・倉庫にかけられてんだよ・・」

その話は初耳だった拓斗も、中岡先生も、秋乃も、ある一つの緊急事態が頭に浮かんだ。
しかし、それは到底信じたくないものだった。

「・・・・この、南京錠の鍵は・・?」

秋乃が、震える声で聞く。

「鍵も、この南京錠と一緒に保管したんだ。この体育倉庫の奥に。」
「・・つまり・・開けられない・・」

中岡先生がそう呟くと、拓斗が田中先生に向かって叫んだ。

「チェーンカッターだ!チェーンカッターで、これを壊すしかない!」
「ちょ、ちょっと、待ってくれ!何でこれにこだわる!確かに、これが付いたままじゃ倉庫は開けられないが明日にでも業者に頼めば・・」
「ふざけないで!明日まで待ってられない!瑞稀が、ココにとじこめられてるかもしれないんだ!」

戸惑い、展開について行けない田中先生を一喝した秋乃に、もはや余裕なんか無かった。
それは拓斗も一緒だった。

「おかしいだろ!この倉庫の鍵を先生が返して、瑞稀が戻ってこなくて、倉庫には壊れて使われてない南京錠がかかってるって!もう居なくなって1時間だ!」
「な・・っ・・」
「はやく!」

秋乃と拓斗の叫びに、田中先生は職員室へと走った。
そして、用具箱の中から小型のチェーンカッターを取り出し、体育館へ走った。
そのときに、偶然会った保健室の先生と学年主任も連れて。


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