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氷の解けた日
【SF 官能小説】

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小型翼竜-2

 そのとき私の体に変化が起きた。
腕が更に生えて来たのだ。
 生え方はでたらめである。腕が全部で6本になったが、昆虫の足のように行儀良く左右対称に3対生えているわけではない。
まるで樹の枝のように思いつくまま生えてきたと言う感じだ。
それが私の意識の速さよりも速い速度で翼竜たちを叩き落とし始めた。
そのうち私はだんだん自分の動きに意識が追いつき始めてきた。
すると6本の腕はでたらめに高速で振り回しているのではなく、一羽一羽を狙って叩き落していることがわかった。
きちんと6つの目で見ているのだ。
ただあまりにも動きが速すぎて意識が最初は追いつかなかったのだ。 

 足元には翼竜の死骸がどんどん山積みになって行ったが、一定の時間が過ぎると自然に消失していった。
 まだまだ翼竜の群れが第2陣、第3陣とやって来るので、私は足を動かして体を回転させた。
普通10回転ほどで目を廻すところだが私なら30回転はいける。
だが、それどころか100回転しても200回転しても目が廻らなかった。
回転しながら戦うと翼竜を叩き落すスピードが上がった。
つまり空中で羽ばたきながら攻撃を待っている翼竜がいなくなったということだ。
 飛び掛った瞬間に叩き落しているので、逆に次の群れが襲ってくるのを私が待つ番になった。
百羽ほど飛んで来ても3・4秒で撲滅してしまうのだ。
だから回転をやめて上空にいる群れが来るまで空を見上げているのだ。
だんだん彼らは攻撃して来なくなった。
今まで数を頼んで攻撃して追い払えなかった相手はいなかったのだと思う。
だが通用しない相手に遭遇して戸惑っているのだ。
私はふざけてジャンプしてみた。
ジャンプして捕まえてやるぞというジェスチャーの積もりだったのだ。
だが私の体は軽々と上空高く飛び上がり、飛び降りたときには6つの手に一羽ずつ翼竜を捕まえて握り潰していた。
 私はそのとき5mは飛び上がったと思う。
私はもっと飛べないかと思って飛び上がった。
すると彼らを飛び越してもっと上空に飛び上がった。
 10mは飛び上がったと思う。これには彼らはパニックに陥った。
 さらに言うなら飛び上がって彼らを通り過ぎるとき10羽を叩き落したし、落下するときは6羽を握り潰していたからだ。

 上空は彼らの安全地域だったはずなのに、そこを襲われたので翼竜たちの残った群れは慌てて飛び去って行った。

 私が飛び降りると余分な4本の腕は体の中に引っ込んだ。
戦う必要がなくなったと判断したのだ。
私は正面の1対の目以外は閉じておくことにした。
閉じると皮膚が塞がりどこにあるかわからなくなる。
これでほんの数ミリ人類に近くなったかもしれないが、相変わらず正面の目は顔の中を不規則に漂っている。
私は自分の生命点が5630点になっているのに気づいた。
最初の100点を残して残りを換金すると553タルトになる。
あの翼竜一羽は1タルトということになり、553羽斃したことになるのだ。

 私は自分の歩き方が変なのは手足の長さが揃っていないというか一定の長さでないことが原因だと思った。
それで両腕・両足の長さが揃うように何度も試みた。
意識しているときは良いのだが気を抜くとすぐガタビッコ(不揃い)になる。
それで私は緊張して集中しながら走る訓練をした。
最高5分くらいはバランスよく走られた。
その後は集中が解けてよたよたとなった。
その日はランニングの練習に明け暮れして終わった。


 カリアはリアル・ゲームの中での私の変化について解説してくれた。

「まず、Dゲームとリアル・ゲームの違いが出たのだと思います。
Dゲームは格闘家のハヤテさまに合わせて専門家用に難しくしてあります。
けれどもリアル・ゲームは戸外で運動することのあまりない一般人でも戦いの醍醐味が味わえるようにゲーマーの力を増幅させてあるのです。
 普段の生活では戦う場面の全くないアニョンさまのような人でも古代ローマの剣闘士のように戦えるのはその為です。
 向上心をかき立てるためにゲーマーの力が上がるほど増幅の倍率はあがるようになっているので、あんなにも力が出たのだと思います。

 体のバランスとか見た目については、すでに警告した通りですので付け加えることはありません。」

 私はこの説明に納得した。
  


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