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氷の解けた日
【SF 官能小説】

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白雪姫-2

私は戻ったらすぐにDマシーンと端末を接続した。
ピッギーを呼びだすとと、アニョンのことを告げた。
ピッギーは前足を動かして見解を述べた。

「アニョンさまはDゲームの世界に吸い込まれたのだと思います。
それもストーリープログラムの中の童話の世界に。
それは確か『白雪姫』だと思います。
Dゲームとリアル・ゲームの周波数が近づいたとき、『白雪姫』がDゲーマーと勘違いしてアニョンさまを主役に迎えた。
けれどもDゲームの登録はハヤテさまになっているから、準主役としてのハヤテさまの王子様が登場しない限り物語は進まない、そういうトラブルだと思います。」

「アニョンをリアル・ゲームに戻してやるにはどうしたら良いんだ」

「ハヤテさまが童話の世界に入って、王子様として物語をすすめればハッピーエンドになりますので、そのときリアル・ゲームと周波数が合えば戻ることが出来ます」

「周波数が合わなかったら……」

「大丈夫です。
丁度舞台で言えば出番待ちの状態ですから周波数の合ったときに向こうに移れます」

「わかった。じゃあその白雪姫のところに飛ばしてくれ」

「かしこまりました。ハヤテさま」



 私は森の中にいた。
7人の小人たちが泣いている。
地面にはガラスの棺が置いてあり、その中には純白のドレスに身を包んだ白雪姫が横たわっていた。

 その顔はアニョンとは別人の顔だった。
童話の世界に出てくるような美しい姫だった。
アニョンよりも肉付きが良く女性らしいセクシーな体だった。
私も老人ではなく若いハンサムな王子の姿だと思う。
そこでナレーションが聞こえて来た。

「隣国の王子さまは、死んでいる白雪姫の美しさに惹かれて思わずくちづけをするのでした」

 このナレーションをきっかけに、7人の小人たちは棺の蓋を開けて、私の手を引っ張り横たわる白雪姫の近くまで連れて行った。

「王子様どうぞ彼女にキスをしてください」

 私は仕方なく白雪姫のおでこにキスをした。
アニョンだと思うと唇になんかできないと思ったからだ。
さっきだってあんなにファースト・キスがどうのこうのとナーバスになっていたから。
だが、ナレーションがまた入った。

「王子さまは最初は遠慮して白雪姫の額にキスをしました。
でも唇にキスをしなければ白雪姫は生き返りません。
何をしているのでしょう。早くしなければ本当に白雪姫は死んでしまいます」

 今度は7人の小人が、王子の私を睨みつけて来た。そして文句を言い始めた。

「いくじなし。それでも男か?」「白雪姫が気に入らないのか?」
「早くしろ。こっちも早く終わりたいんだ」「白雪姫を殺す気か」

 私はこんなことを言われるのは心外だった。
相手の人権を尊重して、一方的に唇を奪っても良いものかどうか躊躇っているだけなのに。こんなにまで言われる筋合いはない。私は反論した。

「だが、この子だって思春期なんだ。
気を失っている間に勝手にキスしたら、トラウマになるだろう」

 すると年配の小人が言った。

「お若いの。お前さんの理屈もわかるが、溺れて今にも死にそうな娘さんだとしたら、マウス・ツー・マウスで人口呼吸をするじゃろう?
それと同じと考えればいいのじゃよ。
それによってこの子の命が助かるのだから、選択の余地はないのじゃよ。
要するに緊急避難の類の行動になるから、やむをえないのじゃ」

私は仕方なく軽く唇を重ねた。体感ゲームなので唇の感触も実に生々しかった。
白雪姫は目を覚まし上半身を起こした。間髪を入れず、ナレーションが入る。

「王子様は白雪姫と結婚することになり、盛大な結婚式の後初夜を迎えることになりました」

 私が「えっ?」と思ったとき、いつの間にか豪華な王室のベッドルームに白雪姫と一緒にいた。
二人とも大きなベッドの上で向かい合って座っているのだ。
これは童話のはずだ。私はこのシーンにしおりを挟み,一旦ゲームを中断した
     


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