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氷の解けた日
【SF 官能小説】

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合体アバター-1

 ピッギーは短い前足を組んで考えるポーズをした。

「私の調べた所では、女性のDゲーマーの場合、白雪姫になってもセックス場面は出てこないと思います。
 けれども男性がDゲーマーの場合は主役の白雪姫になることはないので、わざわざ脇役の王子さまになることになります。
 その場合、行政の性欲処理プログラムは、男性の立場も考慮して清純な処女のヒロインとの初夜の場面もオプションとして付け加えたのではないでしょうか。
 けれども多分初夜だけでは終わらず、女性側の性的快感が絶頂に達するまでがワンセットになって、ハッピーエンドと認識するシステムになっているはずです。」

「ということはDゲームの中で白雪姫と徹底的にセックスしなければ物語は終わらないのか?
そんなことをして、実際のゲーマーのアニョンは何ともないのか?」

 ピッギーは前足を左右に同時に広げ、蹄を上に向けた。

「何ともあります。
セックスは激しい衝撃を伴いますから、アニョンさまも仮面を被ったままではいられません。
アバターはゲーマーと同じ姿になってしまいます。
そうするとゲーム空間と現実空間に同じ組成の人間が存在することになりますのでインプラント共振という現象が起きてしまいます。
つまり、ゲーム空間の自分に起きる肉体変化は現実空間の自分にも同時または時間差で起きます。
ですから、Dゲームの中でアニョンさまとセックスすれば、現実のアニョンさまも処女を失います。
セックスのし過ぎで膀胱炎などの炎症をおこすこともあります。
またかなりの確率で妊娠します。」

「セックスしないで、物語を終わる方法はないのか」

「あります。
極めてセックスに似た方法を用いることにより、性欲処理プログラムを騙す方法です。一昔前のプログラムならお互いがマスターベーションを行うことによってもセックスをしたように思わせることができたと思いますが、今のプログラムは精巧にできていますので、その程度では騙せません。

 恐らく現代の性欲プログラムを騙すことができる者がいたとしたら、ハヤテさま以外にはいないでしょう。
けれどもその方法は極めて特殊なものなので、お勧めするような内容ではないのです」

 私は背に腹は変えられないと思った。
その方法の説明を求めると、ピッギーは躊躇いながら話し始めた。

「以前リアル・ゲーム側のアバターと合体すれば龍の谷に出ることができるとご説明しましたね。
それと同じ方法ですが、私と合体するのです。
私は今は電子生命体ですが、以前は現実世界に生きていたものです。
以前の私はマチモリという人外生物ですが、人間の処女と交わって、病気の体を治す役割を持った、人類の補完生物でもあったのです。

 交わると言っても細い管で処女の膣内から卵巣に侵入し卵子を吸収するだけですが、そのとき女性側は処女であってもセックスの絶頂感と同等の快感を得られます。
また、妊娠や感染症の危険もなければ処女膜が破れることもありません。

 問題は私の側にはなんらの快感もないと言うことです。
つまりハヤテさまも同時に快感を感じ絶頂で射精しなければ、セックスしたと認識されないということです。
けれども直にハヤテさまの男性器をアニョンさまの膣内に挿入することは避けたいとのことですから、アニョンさまの女性器と同様のコピーを私が作ってハヤテさまの男性器を挿入させます。
ハヤテ様は腰を動かさなくても意思だけでピストン運動ができるように致します。
つまり、私の持つ女性器の方を動かすのです。
もちろん私は何の快感も感じませんが、ハヤテ様を射精に導くことはできます。
ハヤテさまの性器に挿入された感覚はアニョンさまにはもちろん伝わりません。
いわゆる擬似セックスを私を媒介として行うために、Dゲーム空間の中で合体をするのです。ここまでご理解頂けたでしょうか」

 私は驚いた。ちょっとイメージが湧かなかった。
だが予備知識としては半分ほど理解できた気がしたので、そのように告げた。
するとピッギーことマチモリは説明を続けた。

 


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