体育館倉庫-5
私はさらりと切り替えした。
「いえ、大丈夫です。それより赤いテープのダンボール、かなりありますね」
「縄は以外に使うからな、上の戸棚にもあるだろ、脚立を使って戸棚のダンボールを取ってくれないか？」
え、脚立に私が乗るの？滑川が乗れば良いじゃない。
私はチラリと横たわるドロだらけの脚立を見るや、滑川に言った。
「私、高い所ダメなんです。出来れば先生が上の戸棚の整理を……」
少し上目遣いで言ってみる。滑川はそれに反応したそぶりをしているが、その後表情が変わった。
「そうか、高い所苦手か、それがな、私も高い所苦手なんだ。それにこの脚立歪んでいてな、私が下でしっかり脚立抑えた方が安全だし、槙野が乗ってくれないか？」
そんな脚立に私を乗らさないでよ！嫌よ、こんな泥まみれの脚立なんかに。
不快な表情をする私に滑川は困り果てる。