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THANK YOU!!
【純愛 恋愛小説】

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THANK YOU!!-2


放課後。

瑞稀は、運動委員の仕事が急に入り、帰れなくなってしまった。
そのため、秋乃や千晴に先に帰ってもらった。

その急な仕事とは、低学年がやってしまった事の後始末。

「・・うわー・・。またまぁ、派手に・・。」

校庭から、自分の身長の半分もある体育館倉庫の窓をのぞき込んだ瑞稀は立ち上がると溜め息をついた。
なんと、体育館倉庫の窓下の部分が割れてしまっていたのだ。

理由は、ストレスに耐えられなくなった低学年が蹴ったボールが窓ガラスを割ってしまったらしい。ガラスの破片は先生達で片付けたらしいが、業者に修理を頼むのに時間がかかるからとその後始末を運動委員長である瑞稀が頼まれたのだ。

「全く・・。物に当たるなよな・・。」

そうため息を付きながらも、持ってきたガムテープで斜め十字に貼り付けると手にしていたダンボール紙に、ポケットから出したサインペンで大きい文字で、
「ガラス注意!近づくな!」と書いて、窓ガラスに立て掛けておいた。

そして、体育館の外扉を開けると、靴を脱いで真っ直ぐ体育館倉庫に向かってこちらも同じく同じことを書いた段ボール紙を立て掛けておき、割れてしまった部分の窓を隠した。

「こんなモンかな。」

そして、瑞稀は簡単な後始末が終わった事を報告して職員室を後にした。
階段まで来たとき、ふと外を見た。
綺麗に赤い夕焼けの光が眩しい。

「・・・もう、こんな時間。てか、雨止んで久しぶりの快晴だな・・。」

雨は、嫌いじゃない。
むしろ好きかもしれない。
でも、今は・・嫌い。

雨は、「涙」
誰かの心が、泣き叫んでいる。

瑞稀は、母親にそう言われてから、雨が降る度にいつも思う。

「・・・今日は、誰の心が泣いてたんだろう。」

と・・・。


― 今日の、雨は・・私かもしれないな・・ ―


拓斗と話せないだけで、こんなに情緒不安定になると思わなかった。
自分の単純さに呆れてしまう。

瑞稀は自分を嘲笑うと、重く感じる足を上げて階段を登った。
せめて夕陽の光が消えるまでに、帰路に着いて空を仰いでのんびりしたい。
光が消えてしまったら・・・自分の心に光は無くなるだろうと、考えながら・・。





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