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眠れない妻たちの春物語
【SM 官能小説】

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眠れない妻たちの春物語(第二話)-3

…ああっ…いい…とても…いいわ…

タシロは充血した目をまるで赤子のように潤ませ、淫唇に舌を烈しく這わせていった。彼の薄紫
色に光る舌先に、私は、性器の痒みを掻かれるような快感に充たされ、蜜液を溢れさせる。 

微睡むような陰毛が、彼の唾液と私の蜜液でぐっしょり濡れ、いつのまにか濃さを増していく。
やがて、彼の舌先が、襞の薄い皮を剥くように割れ目をなぞりあげ、気が遠くなるような優しさ
でクリトリスを舌の上で転がす。

…ああっ…

舌先で秘所をなぞられているだけなのに、私の空洞は、まるでタシロのペニスを少しずつ含んで
いくような感覚に充たされ、あとからあとから止めどもなく湧き上がる蜜液で、からだ全体が
癒されながら溶けてしまいそうだった。


一瞬、顔を浮かせたタシロの薄い唇の端から、涎が糸を引くように流れ、彼の胸のあたりにかす
かに滴り落ちる。そして、彼の股間には、黒いブリーフに包まれたペニスが、くっきりとした
ふくらみの陰翳を露わにしていた。

堅くなっている…。タシロのペニスが私だけに向かって、屹立し、欲情を抱いているのだ。
タシロは、自分に酔うような恍惚感に微かに息を切らせていた。しだいに彼の瞳が潤み、ピアノ
を弾くときには見せたこともないような不思議な色の瞳に染まってくる。


タシロの唇から伝わる体温が、まるで性器に含んだペニスように私の中で脈打つ。しだいに私の
膣孔が、タシロに対する嗜虐の淫液で充たされるように熱くなっていく。


私は白い両腿でタシロの顔面を強く挟み込み、彼の唇に淫口を擦りつける。窒息させるくらい
強く彼の頬を引き締めたとき、私は、子宮の芯がおぼろげに蕩けてしまいそうな眩暈を感じた。

…うっ…うっ…

快感とも苦痛ともとれるくぐもったタシロの嗚咽が私の股間のあいだで洩れ、彼の瞳の奥が、
揺らめくように乱れている。

彼の喉にサラサラと流れる血流を内腿に感じたとき、私は、タシロが望む女にもっともっとなり
たいと思ったのも不思議なことではなかったような気がする…。



夫のケンジが、外での食事に私を誘う夜は、セックスを交わすときなのだ。
ケンジは、私と初めてからだを交わしたときと同じところを、今も同じ順番で愛撫を繰り返し、
私のからだの奥がすでに記憶してしまった柔らかなペニスを挿入する。褪めきった私のからだの
奥に無機質な精液が音もなく流れていく。

セックスを終え、ケンジが深い眠りに落ちたあとも、私は眠れないことが多かった。ケンジとの
セックスの前も後も、ずっと私のからだは褪めたままなのだ。それは、結婚したときからずっと
変わらない。


ふと私は、密かに本にはさんだ数枚の写真に見入る。あのころのタシロの写真だった。

一枚はステージでピアノに向かっている写真… もう一枚は、春にふたりでニューヨークを旅行
したとき、セントラルパークの白いハナミズキの花を背景に撮った写真だった。

遠い懐かしさが心を駆け抜けていく。この人と結婚したい…タシロに肩を抱かれて、眩しいハナ
ミズキの花を見上げたあのとき、私は確かにそう思っていたような気がする。


そして、手にした写真の最後のものは、全裸で後ろ手に革枷を嵌められたタシロが私の前に跪い
ている写真だった。


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