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眠れない妻たちの春物語
【SM 官能小説】

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眠れない妻たちの春物語(第一話)-3

淡い画面の中の女の肌に溢れる蜜液が、細かな光を湛えながら、夫の唇を湿らせているような気
がした。女の豊満な乳房に喰い込んだ黒い縄が、痛々しいくらい肌を緊めあげているというのに、
ひんやりした美貌をもつその女の充たされた表情は、私の嫉妬を誘うくらいとても魅惑的なもの
だった。

夫は、女の髪をゆるやかに撫でながらも、烈しい接吻をはじめる。彼女の唇を啄み、舌と舌が目
まぐるしくねっとりと絡み合っている。

見たこともない夫の姿だった。見なれた夫の背中の翳りが、悩ましいほど小刻みに震えていた。
縛られた女のせりだした胸郭のとろけるような肌を、夫は愛おしいほど唇で啄み、私が経験した
ことがないような夫の熱い行為が続く…。


「妻の逢瀬を隠し撮りした映像ですよ…もちろん、それを頼んだのは私でしたが…」

ムラタさんは、私の耳朶を舐めるように小さく囁いた。

…いったい、どういうつもりなのかしら…私は声にならない自問を独り言のように頭の中で繰り
返す。


「あなたのご主人が、私の妻を抱き、私はあなたを抱こうとしている…ただ、違うのは、妻はあ
なたのご主人に縛られ、鞭を打たれるということ…そして、もうひとつは…」
ムラタさんがそう言いかけたとき、映像は別の場面へと変わる。


女は頭の上部で伸びきった手首を束ねるように縛られ、天井から垂れ下がる鎖で、均整のとれた
美しい裸体を吊されていた。鞭を手にした夫の黒いブリーフが、ふっくらとしたペニスのふくら
みを見せていた。

堅く勃起した夫のペニスの深い陰翳が、私の咽喉を息苦しく涸らしていく…。

別人のような瞳をした夫は、鞭を手にしたまま女の唇に接吻し、首筋をねっとりとなぞる。女の
微かな嗚咽が洩れる…。そして、夫はゆっくりと女の背後に立つと、手にした鞭を振り上げた。


ビシッー、ああっー

鋭い鞭の音とともに女の裸体が烈しくのけ反り、微かな喘ぎ声が洩れる…。いや、それは痛々し
さというより、何かに充たされた女の微睡むような吐息に聞こえたのだった。


ムラタさんは、ベッドの上でうつぶせになった私の背中に、しっとりと濡れた唇を寄せている。
彼のくすぐるような愛撫を背中に感じながらも、私は、映像の中の夫の姿に吸い込まれるように
見入っていた。


ビシッ、ビシッー

夫の手にした鞭がしなり、風を切り、鈍色に光りながら、女の背中や臀部を容赦なく打ちそえ、
鞭の先端が、弓なりに喘ぐ女の白い裸体に巻き付くように這い回る。



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