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異界幻想
【ファンタジー 官能小説】

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異界幻想ゼヴ・ヒリャルロアド・メイヴ-9

「俺がこんなに保たないなんて……」
 どうやら、エルヴァースの罵倒はあながち的外れでもなかったらしい。
 自分が大公爵家を出奔する前、さぞかし具合のいい下半身をしてるんだろうと罵られたが、図らずも今それが証明されてしまったわけだ。
「んっ!」
 再び肉棒が引き抜かれ、深花は思わずのけ反る。
「あ……あ……っ!」
 ゆっくりと腰が動き、熱い楔が埋め込まれた。
「ひんっ」
 体の奥まで支配され、腰を捻ってしまう。
 荒い息遣いとともに、秘裂の中を男が往復する。
 あられもない声を上げながら身悶える女は再びシーツを掴み、足を男の腰に絡ませてさらなる快楽をねだる。
 愛しい女のリクエストに応え、ジュリアスはより深く激しく腰を使う。
 やがて、先に深花の限界がきた。
「あっ、ちょっ……待って……!」
「待たねえ。足りないなら何度だって抱いてやる、何度でもイッちまえ」
 腰使いがますます激しくなり、深花は限界を突破した。
 泣きじゃくるような声を上げながら全身を痙攣させ、男を激しく絞り上げる。
「っ!く……!」
 呻きながらも射精を堪え、媚肉を突き続ける。
「ぅうあう……っ!やだ、また……あああああっ!」
 喋り終える前に、深花は二度目の絶頂に押し上げられる。
「っあ……!」
 一言呻いて、ジュリアスは腰を止めた。
 子宮に向かって、子種を叩き付けてしまう。
 婚約を承諾してくれた喜びに支配された脳神経は、射精を堪え続ける事を是としなかった。
 愛しい女の腹の中を穢す方を選んだのだ。
 二度も心身を乱され、目を閉じて荒い息をついていた深花がうっすらとまぶたを開ける。
「ん……」
 腕を伸ばして縋り付き、ジュリアスにキスをねだった。
 それに応えて、彼は唇を重ねる。
「満足した?」
 そう聞いたのは、深花だった。
 嫌味な言い方ではなく、純粋に彼を気遣かっているのが分かる口ぶりだ。
「少し遅いけど、ちゃんと決心したから。私は、あなたの傍からもう逃げないよ……こんなに、全身にあなたを刻まなくたって」
 愛情に依る誓いの言葉は、途方もなく甘美だった。
 他の男に盗られやしないか。
 自分の元から去りはしないか。
 心の奥底に燻っていた焦燥が、見る間に消え失せる。
「俺……」
 深花を抱いているつもりで実は自分が抱かれていたと、ジュリアスは気づく。
「私にあなたにここまで愛される価値があるのかは未だにすごく疑問だけど、あなたが不安なら私だって証でも誓いでもいくらだって」
 声は、不意に途切れる。
 いきなり情熱的に抱き締められてしまったら、口をつぐむしかなかった。
「……立てるから」



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