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名門女子剣道部・愛花
【同性愛♀ 官能小説】

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淫虐の罠-7

6.
 その夜――。
 つかさに付き添われて帰宅したジャージ姿の愛花を見て、志津はびくっとした。
 本人に聞いても『練習中に気を失った』というだけ。つかさも口裏を合わせて何も言わない。だが、実際に何が起きたのか、大方の予想がついていた。
 志津は何も聞こうとはせず、愛花に簡単な食事を与え早く寝かしつけると、キッチンに座り、携帯電話をとった。

 プルルルルル……!
 ガチャリ。

「……夜分遅くにすみません。笠倉です」
「あら、笠倉さん。待っていたわ。ようやく決心してくれたのね?」

 電話に出たのは理事長だった。

「はい。今日、うちの娘が大分きつい『S』の洗礼を受けたようなんです」
「そう……。愛花ちゃんは大丈夫?」
「ええ。芯は強い子です。歩き方もギクシャクしてませんから、処女までは奪われなかったようです」
「それは良かったわ。できれば幸せな初体験をしてほしいものね」
「はい……」

 志津は、愛しいお姉様に処女を捧げたあの夜のことを思い出していた。本当に愛している人に貫かれるのなら、身体を2つに裂かれるような痛みも喜びに変わる。
 そんな女の幸せを全身で噛みしめた中学生時代の自分。あの日の痛みは今でも私の宝物だ。
 愛花にも、出来ることならそんな幸せを感じさせてやりたい。

「この鎌倉は、古矢先生が終(つい)の棲家にした土地よ。この地で『S』のスキャンダルを出すわけにはいかないの」
「わかっています。私も『S』の使徒です。女同士の愛は神聖なもの。男性的な暴力で相手を犯すなどあってはなりません」
「貴女だけが頼りよ……」

 ここで2人の会話を補足しておく。
 大正から昭和にかけて活躍した小説家・古矢伸子。女学生同士のプラトニックな恋愛感情を描いて絶大な人気を誇った少女小説の大家である。
 彼女は日本における進歩的レズビアンの先駆者であり、当時設立されたばかりの星月女学院にもパトロンとして多額の寄付を行ってきた。恵まれない家庭の娘に匿名で学資を援助したり、当時まだ珍しい海外留学に送り出しもした。
 後に引退した彼女はパートナーとともに鎌倉に移り住み、晩年は星月女学院に通う愛らしい少女たちを愛でるのを心の慰めとしたのである。
 病没後、学園の敷地内に記念碑と銅像が立てられたことからもわかるように、今でも彼女は学園の精神的支柱なのだ。

「ところで、いつから練習に参加できるの?」
「明日、上司と勤務シフトの件を相談します。決まり次第、またこちらからご連絡いたします」
「わかったわ。顧問の沖さんには私からよく言っておくから。…あの子と会うのも久しぶりでしょう?」
「ええ…。10年前のOG会以来だと思いますわ」
「貴女達…身体の相性も良かったわよね?」

 あの日の鮮烈な記憶がふっと志津の脳裏をよぎった。

 新宿2丁目の会員制レズビアン・ショーパブを借り切って行われた、10年前のOG会。
 集まったOGたちが思い思いのコスチュームで着飾って淫らなヒップダンスやSMショーを繰り広げ、大乱交パーティーと化した伝説の一夜。
 当時の志津は『あの事件』にショックを受けてレズから足を洗い、男性との結婚生活に救いを求めていた。しかし生活は苦しく、慣れない育児にも疲れ果てて自暴自棄となっていた。
 そんな折に届いた1通の招待状。

 このイベントに、志津は趣向を凝らした刺激的スタイルで参加、他の参加者を魅了した。
 首にはトゲのついた赤いエナメル首輪、手足は黒のロングレザーブーツとグローブ、そして乳首をボディジュエリーで飾っただけの素っ裸という姿だった。
 そして思いきりいやらしい腰つきでダンス、オマンコを自ら広げて淫らなポーズを決めた。その滴る淫汁の匂いに誘われて志津の身体に群がるOGたち。
 日々の生活を忘れ、一匹の淫らなメス犬に戻って刹那的な快楽に身を委ねることでリフレッシュし、志津は新たな活力を得たのだ。それ以来、精神的にも生活的にも安定していった。
 そういえば、あれ以来マンコを味わっていない。あの匂い。あの味。あの舌触り。考えるとたまらなくなる。直見の愛らしい性器の味は格別だった。

「とっても感じやすい子で…いじめられるとすごく濡れるんです。OG会との合同練習でいつも泣いていたのは…きっともっといじめてほしかったんでしょうね」
「たっぷりと旧交を温めあってちょうだい。そして秘密を探ってほしいの。彼女、何か隠しているみたいよ」

 ちょっと含みのある言い方をして理事長がくすりと笑った。
 志津の熟れきった肉体を使った色仕掛けも計算に入れている、ということなのだろう。
 志津は貞淑な妻を演じるようになって大分経つ。『女』に戻るのは数ケ月に1回戻ってくる夫との情交の時だけだ。
 久しぶりのレズSEXで、直見をどんな風にいじめてやろうか…と思うと、志津は胸が高鳴った。
 
「わかりました。私に任せて下さい。それでは失礼いたします」

 志津は静かにそう言って電話を切った。
 そして自分の部屋に戻るとネグリジェとパンツを脱ぎ捨ててブラだけになり、引き出しから真新しいさらし布を取り出した。それは粋な豆絞り柄のふんどしだった。
 志津はガニ股気味に開いた股間にふんどしを当てると、一方を肩にかけ、残る一方を素早くねじり上げてゆく。性器と肛門が締めつけられ、心地よい緊張感が走る。
 ひさしぶりに味わうふんどしの快感に、蜜壺の奥がじんわりと潤んでくるのがわかった。

 これで股間を締め上げて竹刀を振るうのは久しぶりだ。
 明日になったら、物置に入ったままの竹刀と稽古着や袴を出してこよう。他にもやらなければならないことが一杯ある。
 伝統ある星月女学院剣道部に立ち込めている暗雲。
 それを晴らせるのは自分だけかもしれない…と思うと、余った横褌を絡める手にも力が入るのだった。


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