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〈不治の病〉
【鬼畜 官能小説】

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〈不治の病・其の一〉-7

『22時の巡回終わったら帰っていいから。それだけは任せるからね』


50代くらいの痩せたナースは、少し笑って亜矢に仕事の締めを告げた。
徹夜にならなくて済むと安堵した亜矢の表情は少し和らぎ、僅かだが生気が漲る。
見渡せば、このナースステーションには仕事を終えたナース達が集まり、談笑をする者や帰宅の準備にかかる者もいた。
ただ、その中には、先程の若いナースはおろか、自分と同年齢のナースの姿すらなかった。
皆が皆、40代から50代の、いわゆるオバサンの姿しかなかった。
女性としての魅力すらかなぐり捨てた、自己中心的な振る舞いをみせる、醜い老い方をした女の末路のようだった。


『坂口さん、時間だよ』


何処からか声が聞こえ、それに従うように亜矢はナースステーションから出て行った。
その後ろ姿を、他のナース達は冷たく見つめていた。


(はぁ…前の病院の方が良かったかな?居心地最悪……)


心の中で愚痴ながら、亜矢は薄暗い廊下を歩き、一つ一つの部屋に入り、懐中電灯で患者に異状がないかを確認していく。
ヒタヒタとした足音が廊下の空気を微かに揺らし、その音がナースステーションから確認出来なくなった頃に、婦長は姿を現した。


『………行ったのかい?』


ずる賢い響きを持った低い声に、他のナース達は静かに頷いた。
そして、A棟の夜間巡回に二人のナースが出ていって消えた。





(………寝てる……)


朝に後ろから声をかけた患者は、真っ暗な部屋の中で、気持ち良さそうな寝息を発てていた。
その次も、その次の部屋も、患者に異状などなく、巡回は順調に進んでいく。
そして遂に、嫌な患者達のいる520B号室の前まで来た。

ドアノブを掴み、ゆっくりと引いた……真っ暗な部屋の中に、黄色いカーテンの壁が出来ている……懐中電灯の明かりに照らされたそれは、鍾乳洞のような不気味さを醸し出していた。


(……あれ?解けてる………?)


通常、如何なる不測の事態が起きてもドアを開けられるように、ドアが完全には閉まらないように、何らかの工夫がされているものだ。
この病院では、外と中のドアノブを結ぶように厚めのタオルを結び付け、ドアが閉まらないようにしていた。
そのタオルが跡形も無くなり、ドアはピッタリと閉まるようになってしまっていたのだ。

亜矢は身震いするような不安にかられ、ドアを開け放ったままで見回りを続けた。


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