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美咲推し!!
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演劇部バレンタイン公演-16

「えっ?責任って?」
「美咲が再アンコールで何をするか考える事!」
「わかった....」
私は少し考え、麻里に耳打ちして
「後はお願いね!」
私はステージを降りようとした。
「ちょっと美咲どこへ行くの?」
「打ち合わせしてくるから...少しの間繋いでおいて!」
「ちょっと美咲ぃ....」
戸惑う麻里の声を聞きながら私はスタッフと何を歌うか打ち合わせをするためにステージを降りた。
ステージ上では演劇部の本領発揮というべきか....メンバー全員が生き生きとして即興劇を繰り広げていた。
「みんな!お待たせ!」
私が戻ると大歓声が起きた。
「みなさんお待たせしました!また盛り上がりましょう!」
私は客席に手を振った。私は卒業する先輩達にメッセージを付けて歌う事にした。

「みなさんには夢がありますか?....先輩達は学校を卒業してそれぞれの夢に向かって進まれますが....はっきりと自分の夢が見えている人....朧気ながらにしか見えていない人....なかにはこれから見つけようとしている人もいるかもしれません....例え夢が見つかっても....夢の前には多くの困難があるでしょう....時にはその困難は....高い壁のように見えたり....広い川のように見えたりするでしょう....でも忘れないで下さい....高い壁を乗り越えれば....広い川を渡れば夢に辿り着ける事を....夢への歩みを止めないで下さい.........それでは一曲目です......」

「何をやっても上手くいかなくて....自分の不運を嘆く事もあるでしょう....でも神様は見ていてくれます....努力しているあなたの姿を....あなたにもきっと巡って来ます....この順番が......二曲目です.......」

「誰もが簡単に夢を叶えられるわけではありません....時にはいつまでも夢なんか見てないで....ってしたり顔で言う大人もいるかもしれません....しかし....夢を追い求めるのに遅過ぎる事はありません....だってあなたはいつだって....あなた自身の人生の開拓者なのだから....三曲目.......」

「自分は孤独だと思う時があるかもしれません....そんな時思い出して下さい....みなさんには三年間一緒に学んだ仲間がいる事を....卒業とは....別れの儀式ではありません....再び逢う約束を交わすための儀式です....だから....約束して下さい....またいつかみんなで集まろう....10年後にまたみんなで.....聞いて下さい......最後の曲です.......」

最後の歌を歌って私達はステージ上でメンバー全員手を繋いで並んだ。麻里が最後の挨拶をしようとした時
「もう一曲.....もう一曲.....」
どこからかそんなコールが起こり、やがて全体に広がった。麻里は少し考え
「みなさん少し待ってて下さい!」
麻里はそう言うとステージを降りていって、ギターを持って戻って来た。
「どうしたの?それ?」
私が言うと
「借りて来た.....ハイ!」
私にギターを手渡そうとした。
「えっ!?」
「この前ギターの弾き語りで歌ってくれたあの歌を歌ってよ!」
「でも...あの歌はAKBの.....」
「そんなの関係ないわ!私達はAKBじゃないんだもの!」
その歌はアテネオリンピックの時にゆずが歌った歌だった....
「この歌は私達がレッスン中にフリが覚えられずに落ち込んでいる時に美咲が借りて来たギターの弾き語りで歌ってくれた歌です。あの時、美咲の歌にどれだけ励まされたか....私達が今こうして歌えたのも美咲がこの歌を歌ってくれたからです....美咲お願い....」
私は麻里からギターを受け取った。
「みなさん歌っていいですか?」
大歓声が起きた。私はマイクを麻里に渡してギターを肩にかけた。メンバー全員が私のまわりに集まって来た。麻里が私の口元に、葵ちゃんがギターの近くにマイクを持っていた。
「さぁ美咲お願い!」
私は頷いて
「時には涙を流す事もあるでしょう....逃げ出したくなる事もあるでしょう....それでも夢へと歩き続けて下さい....例えその道が遠回りであっても....夢へとあなたを導いてくれるから....夢への架け橋へと続くその道を....本当に最後の曲です.....」
最後のサビの部分はメンバー全員で歌った。こうして私達の公演は大好評で終わった。





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