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天狗屋物語
【SM 官能小説】

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天狗屋物語(前編)-1

…その店の名前は「天狗屋」…
 

深夜の私のマンションの外は、漆黒に塗り込められ、研ぎ澄まされたの静けさに包まれていた。
私は、見知らぬ男性から突然届いたメールを読み終えると、コーヒーカップを手にし、いつも
のようにバルコニーに出てみる。高台のこのマンションから見える街の散りばめられた灯りは、
どこか息を潜めるように眠っているようだった。

私は煙草に火をつける。こんな夜はなぜか吸いたくなるのだ。
ふと、送られてきたメールの男性のことを想像する。いろいろなことを妄想しながら、一度、会
ってみたい気もする…。

吐いた煙草の煙が、夜空にふわりと舞い上がり、暗闇の中に溶けていく。

そう言えば、昨夜、ふと立ち寄った「天狗屋」というアダルトショップ…私のマンションの近く
の路地裏に、あんな店があったことに今まで気がつかなかった。つまらない大人の玩具が多いが、
奥のSM用品コーナーは、いろいろなものがあって見ているだけで楽しかった。

店のカウンターにいた少し陰気な男性は、私よりいくつか年下みたいだったが、なかなかいい男
だった。頭髪を短く刈った顔は、どこか淫猥な感じなのに、目元が妙にかわいいのだ。
彼に、私の衣服の下の裸を舐めるように見つめられたときは、久しぶりにくすぐられるような
疼きを感じた…。



――― 


… 谷 舞子 様

初めまして。突然のメールで失礼します…。

あなたのブログ「谷 舞子のSM小説 コーヒータイム」や投稿小説をネットのサイトで拝見さ
せていただきました。とても楽しく、感慨深く読ませていただいております。

私は、都内の某私立大学で教鞭をとっておりますが、恥ずかしながらと言ったらあなたには大変
失礼なのですが、SMの趣味があります。

妻に先立たれてからというものひとり暮らしを続けておりますが、すでに六十歳近くの年齢で、
これから先の伴侶を求めることも躊躇しております。

学問の世界にいる私ですが、ひとりの男としての欲望はやはり尽きないものです。いつ頃からか
SMに興味を持ちはじめ、女性を縛り、鞭を握ることに欲情を感じ、今ではときどき都内のSM
クラブで楽しんでおります。

あなたが、どんな女性なのかは、ブログや小説の中でしかわかりませんが、きっと私が求めてい
る理想のMの女性に違いないと自分勝手に思い、ぜひ一度お会いできればと密かに思いを募らせ
ております…。




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