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もうひとつの本当の優しさ
【青春 恋愛小説】

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もうひとつの本当の優しさ-1

「おい来栖!お前またこのクラスか?」
「ご不満でしたら替えていただいて結構ですよ!」
「そういう訳にもいかないんだ....残念だけど....」
「先生!残念って酷くないですか?」
「悪い!変な意味で言ったんじゃないんだ....こんなに数学の成績がいいのに、何故文系に進んだのかなって....」
「えっ?」
「だってそうだろう...成績順にクラス分けされる冬季講習の数学で、このトップのクラスにいるのは、文系ではお前一人なんだから....」
「歴史のほうが好きだからですよ!」
「そうか...それなら仕方ないな....しかし程々にしておけよ!」
「えっ?何をですか?」
「金本先生言ってたぞ!お前は歴史の知識が豊富で先生も適わない所もあるが、間違った歴史認識を持っているので困ったと....」
「お言葉を返すようですが間違っているのは金本先生のほうですよ!この前も砂煙に被われようとしている街の写真を見せて、日本軍による毒ガス攻撃の写真だって、バカな事言うんですよ。毒ガスは目に見えないから兵器として有効だし、化学合成した毒ガスが....」
「わかった...その続きは金本先生とゆっくりやってくれ....しかしあまり先生に逆らうと内申書に響くぞ!」
「別にいいですよ!ケーキ屋を継ぐつもりですから....」
「もったいない事言うな!お前の成績なら....この話も後で....授業始めるぞ!」
僕は来栖賛(クルスサンタ)高校二年生である。今は期末試験も終わり冬季講習に入っている。進路の事を考えれば、別に数学でトップクラスにいる必要などないのだが、このクラスにずっと片思いしている天城千春(アマギチハル)さんがいる。だから僕は数学の成績を維持している。天城さんは数学が得意でずっとトップ争いをしている。理数系に進んだ天城さんと同じクラスになりたくて数学だけは頑張っている。天城さんは美少女の部類に入り、高校に入学した当初はよく告られていたが全て断っていた。ただ最近は性格が地味な為にそんな事もなくなった。もっと明るいと完璧なのに....そう言われているみたいだ。
この前いつものようにうちの店の前を掃除している時に偶然天城さんを見かけた。天城さんは彼氏らしい人と楽しそうに話していた。学校では見た事のない笑顔だった。しかし最近天城さんの様子がおかしい....どことなく沈んだ表情をしている....彼氏と何かあったのだろうか....いつも天城さんを見ている僕だからわかる事かもしれないけど....だからといって天城さんとまともに喋った事のない僕にはどうする事もできなかった....
数学の講習が終わり通常のクラスに戻った。今日は担任教師から三者面談の話を聞いて終わりになる。僕はクラスに戻ると凪沙麻衣(ナギサマイ)さんに近づいて行った。
「凪沙さん!昨日言い忘れたんだけど、今週は平日もバイトに出て欲しいんだけど....もし出れるなら今日から出て欲しいんだけど....」
凪沙さんはうちの店で土日だけバイトしている。今週末にクリスマスがあるので、今日からその準備で忙しくなるのでバイトのお願いをしたのである。
「いいよ!いつもの時間でいい?」
「うん!じゃお願いします。」
僕は頭を下げてその場を離れた。




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