雅江の隣-12
(もう一息だな。)
落とせる自信があった。もう断らせる事は絶対させないつもりだ。
「わ、私みたいなオバ…」
そこで指で雅江の口を抑えた。
「オバサンだなんて言わせないですよ?めちゃくちゃ抱きだい、いい女なんですから…。」
「川田君…」
もう殆ど落ちた。あとは一気に口説き落とすだけだった。
「広野さん…主婦だっていうのを忘れて?今夜は女として楽しみましょうよ?ねっ?」
「女として…」
雅江は次第に、主婦として家族を支えている苦労を思い出してしまう。いつもそこから抜け出して、独身時代に味わっていた自由を求めていた気持ちを思い出す。
「たまにはいいのかな…?このままだったら息が詰まりそう。」
「不倫、じゃなくて、息抜きとして考えればいいんじゃないですかね?広野さんて、今まさに女盛りです。そんな時に女を閉まったままじゃ勿体ないです。俺は女盛りのいい女を抱きたい。広野さんとセックスしたいです。」
雅江は少し沈黙した後、ゆっくりと健太郎の目に視線を合わした。
「川田君…。私…あの…」
「(よし!落ちた!)じゃ広野さん…、行こうか?」
どこに行こうと言っているのは分かった。それを含めて答える。
「うん…。」
雅江は健太郎に肩を抱かれて夜道を歩く。そして道の門を曲がるとネオンが見えた。そこは地元では有名なホテル街。健太郎の肩に抱かれながら、その中のホテルに入って行った。
(とうとう雅江とセックスできる!おいしそうな人妻のカラダ…たっぷり味わってやるよ。)
欲望に満ちた健太郎に比べ、雅江は若干の罪悪感と緊張、そして女として迎える夜に期待感も感じていた。
部屋のドアを開け、中に入った瞬間、雅江の体は健太郎に捧げられる事が決まった。