性そして生命-3
「………これ……か……?」
いっぺんに頭に血が上り、マウスをうまく握れないほど手が震えている。
逃げたい―――。
出来れば見たくない。
しかし、どうしても確かめなければならないのだ。
三田村は覚悟を決め、わななく指でそのファイルをクリックした。
一瞬の静寂の後、パソコンの中に再生画面が開き、その中にぼやけたような肌色の映像が映し出された。
『――――感じてんだろ?!もっと声出せよ!』
まず最初に川瀬の怒鳴り声が聞こえた。
相手を完全に見下したような、下品極まりない口調に鳥肌が立つ。
徐々にピントが合い、映っているものの輪郭がハッキリしてくると、それが男女の結合部のアップであることがわかった。
画面の動きと息遣いから、川瀬によってハメ撮りされたものであることがわかる。
「……誰や…相手は……」
仰向けに横たわった川瀬の上に跨がる女の下腹部。
その身体を見た瞬間、三田村は「これは慶子ではない」と思った。
なぜならば、その女の陰部は、まるで幼女のように毛が全くないつるつるの状態だったからだ。
『―――慶子……じゃない』
全身の緊張が一気にほどけるような安堵感が三田村を包みこむ。
――――そうだ。慶子がそんな目にあうはずはない。いや、あってはならないのだ。
三田村にとって慶子は、ずっと女神のような神聖な存在だったのだから―――――。
しかし次の瞬間、その甘い期待は脆くも打ち砕かれた。
『……あ…あぁ…も………あ…あかんっ……』
「…………!?」
スピーカーから聞き覚えのあるか細い声が聞こえ、カメラが揺れながらゆっくりと上にパンした。
「……ああっ……いやぁっ……」
そこには、長い髪を振り乱しながら、全裸で悶える一人の女が映っていた。
川瀬の攻めに翻弄されながらも、全身を貫く快楽にうち震えるなまめかしい肉体。
まるで見知らぬケダモノのような表情をしてはいたが、それは間違いなく―――慶子であった。
「―――慶子っ!」
三田村は思わず悲鳴のような声を上げて立ち上がっていた。
頭が真っ白になり、血の気が全てひいてしまったように、強烈な寒気が全身に襲いかかる。
『……もっともっと泣き叫べっ!……』
川瀬がけたたましい衝突音を響かせながら、激しく腰を突き上げ始めた。
『……あぁっ……あ…かぁん……イくうっ……イくぅ……』
―――イく?……嘘やろ……?
今…そう言うたんか………?
剃毛されているせいで、川瀬のペニスが慶子の中に深々と入っていくのが嫌でもはっきりと見える。
突かれる度に割れ目から溢れ出してくる快楽の証。
恥ずかしさからなかなか濡れることすら出来ない、いつもの貞淑な面影は見る影もない。
メスの本能を剥き出しにした、三田村の知らない慶子の姿がそこにはあった。
『気持ちイイんだろ……?そう言ってみろよ……』
『……あぁ…やぁ…き…きもち……い……気持ちい…ぃ……』
「………やめろ……慶……子っ……」
悪夢のようなやり取りに思わず耳を塞ぎかけたその時、突然別の男の声が割り込んできた。