第1章-4
「あっ、はいそうです」
「では、それは誰です?ひょっとしたら両親とかかな」
住職は真梨子の目を見つめていた
その内容に関わらず僧侶は淡々としていた。
「あ、はい、いえ、少し、私が小さい頃の・・」
「やはりな、それを言ってごらん、気持ちが楽になるからね」
真梨子は僧侶の目をじっと見つめていた。
(ご住職様なら、この方になら全てを話してもいい気がする)
「はい、私が12歳の頃
たまたま母親がセックスをしているのを見てしまったのです
私は具合が悪く、学校を早退したときでした。
それはショックでした、母の相手は私の家庭教師の人です。
二人は裸で、先生が母の上に乗り
母は卑猥で、いやらしい声を出しているのです。
あの大人しい母がそのときメスの獣のように見えました
父は仕事で3年くらい単身赴任でしたから・・
その母がいやらしい顔で虚ろな眼をしていました。
それがショックでした・・ずっと」
「なるほど、貴女はお母さんの浮気のそのシーンを見てしまったんだね」
「はい、そうです」
「大好きなお父さんが居ないことを・・」
「なるほど、貴女はそれが許せなかったのだね」
「はい、普段のしつけが厳しい母が、そんなことを、そう思うと」
「なるほど、それだけでは無いようだが」
「あ、はい、そのとうりです
それから二人はそれからもことあるごとに、裸で抱き合っていました
ドアが少し開いて声が聞こえるんです、先生がわざとそうしているようです
私に見せつけるように」
「それから貴女は母を憎むようになり、セックスを汚らわしいと思うようになった」
「はい」
「どうも、それが原因で、セックスをまともに考えることが出来なくなったようだな」
「あぁ、はい」
「しかし、貴女も大きくなればセックスについて、少なからず分かってきたはずだ」
「はい、そうですね」